• 不動産登記法ー4.抵当権に関する登記
  • 9.抵当証券
  • 抵当証券
  • Sec.1

1抵当証券

堀川 寿和2022/01/13 15:51

抵当証券の意義

 抵当証券とは、抵当権とその被担保債権を一体化させた有価証券をいう。抵当権者と抵当権設定者及び債務者との間の抵当証券発行の特約に基づき、抵当権者の申請によって登記所が発行する。


抵当証券の機能

 抵当証券が発行された場合、抵当権と被担保債権とはこの抵当証券の裏書交付によって譲渡される。抵当証券発行後は、抵当権及び債権の処分は抵当証券をもってしなければならず、抵当権と債権とは分離して処分することができない。(抵証14条)譲受人は証券の所持により、抵当権の移転登記をしなくても第三者に対抗できる。

抵当証券を発行できない場合

① 抵当権が根抵当権の場合

 抵当証券は、抵当権と被担保債権を表象するものであるため、根抵当権では被担保債権が特定できないからである。

② 抵当権が未登記又は仮登記の場合

③ 抵当権付債権に差押え・仮差押・抵当権に対する仮処分の登記がある場合

④ 抵当権に転抵当・譲渡・放棄・順位譲渡・順位放棄の登記がある場合

⑤ 被担保債権又は抵当権に解除条件が付いている場合

⑥ 買戻特約の登記がなされた不動産に対する抵当権の場合

 ②~⑥の場合は、いずれも抵当権又は被担保債権が不確定・不安定な状態であり、証券化するのは適当でないからである。

⑦ 抵当証券発行の特約がないとき

 抵当証券が発行されると債務者や設定者等の利害に重大な影響があるため、あらかじめ証券発行の特約が必要である。