- 不動産登記法ー4.抵当権に関する登記
- 5.抵当権の処分の登記
- 抵当権の処分の登記
- Sec.1
1抵当権の処分の登記
■転抵当権の登記
転抵当とは、抵当権者が自らの債務の担保のために、抵当権をさらに抵当に入れることである。
転抵当権の登記 申請書 記載例
(*1)転抵当権者を登記権利者、抵当権者を登記義務者とする共同申請による。
(*2)転抵当権の登録免許税は、付記登記として不動産1個につき1000円である。(登録免許税法別表一、一、(十四))抵当権設定の場合の「債権額×1000分の4」ではない点に注意!
(完了後の登記記録)
■抵当権の譲渡、抵当権の放棄の登記
(1) 意義
「抵当権の譲渡」とは同一の債務者に対する債権者のうち、抵当権を有する者から無担保債権者に対して抵当権を譲渡し、その限度で自分は無担保債権者となることをいう。(民法376条1項)
抵当権の譲渡(放棄)の登記 申請書 記載例
(*1)権利者とは記載せず、受益者と記載する。抵当権のみの譲渡・放棄を受けた者は抵当権の移転を受けたわけではなく、譲渡人・放棄人の抵当権を基礎としてその利益を享受することのできる受益者としての立場にとどまるからである。
(*2)付記登記として、不動産1個につき1000円である。
(登録免許税法別表一、一、(十四))
(完了後の登記記録)
(2) 申請人
抵当権の譲渡を受けた無担保債権者が登記権利者、譲渡をした抵当権者が登記義務者となり共同申請による。
(3) 登記事項
抵当権の譲渡を受けた無担保債権者の債権の内容が登記事項となる。
(4) 登記の実行
原抵当権に付記してなされる。抵当権の処分の登記については後順位抵当権者などの利害に関係がなく、登記上の利害関係人が存しないので、常に付記登記でなされる。
抵当権の被担保債権の一部の譲渡 申請書 記載例
受益債権の一部のための抵当権の譲渡 申請書 記載例
■抵当権の順位譲渡、抵当権の順位放棄の登記
(1) 意義
抵当権の順位の譲渡とは、抵当権者が同一の債務者に対する後順位の担保権者のために、抵当権の順位を譲渡することである。
抵当権の順位の譲渡の登記 申請書 記載例
(完了後の登記記録)
(2) 申請人
順位譲渡を受けた後順位抵当権者が登記権利者、譲渡をした先順位抵当権者が登記義務者となり共同申請による。
(3) 登記事項
記載しない。順位譲渡する抵当権も順位譲渡を受ける抵当権も被担保債権の内容はすでに登記されているからである。cf 抵当権の譲渡、放棄の場合
(4) 登記の実行
順位譲渡をする抵当権に付記してなされる。抵当権の処分の登記については後順位抵当権者などの利害に関係がなく、登記上の利害関係人が存しないので、常に付記登記でなされる。
抵当権の一部順位譲渡の場合
後順位抵当権の一部のための順位譲渡の場合
先例 | (S33.11.11民三855号) |
順位の譲渡や順位の放棄は、「同一の債務者に対する後順位の担保権者」に対してすることができるとされているが、同一の不動産を目的とした後順位の担保権者であれば、債務者が異なっていても差し支えないとされている。 |