• 不動産登記法ー3.用益権に関する登記
  • 3.区分地上権の登記
  • 区分地上権の登記
  • Sec.1

1区分地上権の登記

堀川 寿和2022/01/13 10:06

区分地上権の意義

 地下又は空間の上下の範囲を定め、その部分のみを目的として、工作物を所有するために地上権を設定することができる。(民§269の2 1)。これを区分地上権という。地下鉄、地下駐車場などの地下工作物や、高架線、モノレールなどの空中工作物を所有するために設定される。工作物を所有するために限られ、竹木所有を目的とする区分地上物を設定することはできない。


先例(S48.12.24民三9230号)
階層的区分建物の特定階層の所有を目的とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。


区分地上権設定の制限

 区分地上権を設定しようとしている土地に、すでに用益権者(地上椎者、賃借権者、不動産質権者など)がいる場合、及びそれらの権利を目的とする権利者(地上権などを目的とする抵当権者、賃借権者)がいる場合は、すべての者の承諾がなければ区分地上権を設定することができない。(民法269条の2 2項、登研229号)なお、担保権者や使用収益しない旨の特約のある質権者については承諾不要である。




区分地上権の登記事項

(1) 登記事項

 区分地上権の登記においては、通常の地上権の登記事項のほか、地上権の目的である地下又は空間の上下の範囲が必ず登記される。


先例(S41.11.14民甲1907号)
この上下の範囲は、平均海面又は地表の特定の地点を含む水平面を基準として上下の範囲を明らかにする。例えば「土地東南隅の地点の下何メー卜ルから下何メートルの間」というように登記するが、その範囲を明らかにする図面の提供を要しない。


(2) 土地の使用制限の定め

 設定行為によって区分地上権行使のために土地の使用に制限を加えた場合はその旨登記される。(民法269条の2 1項)

ex「地上に何トン以上の工作物を設置してはならない」

「高架鉄道の運行の障害となる工作物を設置してはならない」

 しかし、「土地所有者は一切その使用をすることができない」などの定めは認められない。

 このような場合には、区分地上権ではなく普通の地上権を設定すべきであるからである。

  

  区分地上権設定登記設定登記 申請書 記載例

(*1)「区分地上権設定」ではなく、あくまでも「地上権設定」である。

(*2)通常は区分地上権の設定契約がされた日であるが、既にその土地に第三者の利用権等の登記がされていて、区分地上権の設定契約より後に当該利用権者等の承諾を得たときは、その承諾の日が原因日付となる。土地の利用権者等の承諾は、実体法上の効力要件であり、承諾を得ないと区分地上権は成立しないからである。

(*3)範囲が登記されていれば、普通地上権ではなく、区分地上権ということがわかる。

(*4)区分地上権の目的である範囲を明らかにした図面を提供することを要しない。cf 地役権