- 民法親族・相続ー15.遺留分
- 4.遺留分侵害額請求権の消滅
- 遺留分侵害額請求権の消滅
- Sec.1
1遺留分侵害額請求権の消滅
■遺留分侵害額請求権の期間の制限
(1) 短期消滅時効
遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する(民法1048条前段)。
判例 | (最判昭57.11.12) |
「相続の開始及び減殺すべき(現行法では「遺留分を侵害する」)贈与又は遺贈があったことを知った時」とは、被相続人の死亡の事実や、贈与又は遺贈があったということを知るだけでなく、その贈与又は遺贈が減殺できるもの(現行法では「遺留分侵害額を請求できるもの」)であるということを知った時である。 |
(2) 除斥期間
遺留分侵害額請求権は、相続開始の時から10年を経過したときも消滅する(民法1048条後段)。
■遺留分の放棄
(1) 意義
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる(民法1049条1項)。一方、相続の開始後は、家庭裁判所の許可を受けることなく、自由に遺留分を放棄することができる。
(2) 遺留分放棄の効果
遺留分を放棄すると、遺留分侵害額請求をすることができなくなるが、なお相続人としての地位は失わない。
共同相続人の1人が遺留分を放棄しても、他の共同相続人の遺留分には影響を及ぼさない(民法1049条2項)。つまり、他の共同相続人の遺留分が増えることはない。