• 民法親族・相続ー15.遺留分
  • 3.遺留分侵害額請求
  • 遺留分侵害額請求
  • Sec.1

1遺留分侵害額請求

堀川 寿和2022/01/06 16:13

意義

 遺留分権者の現実に受けた財産の額が遺留分の額に不足するときは、遣留分を侵害されていることになる。このような場合は、遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる(民法1046条)。これを遺留分侵害額請求権という。

遺留分侵害額請求権の法的性質

 遺留分侵害額請求権は形成権であるため、その請求が相手方に到達すると当然に遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生する。遺留分侵害額請求権の行使は、必ずしも裁判上の請求による必要はない。

遺留分侵害額請求権の当事者

(1) 請求権者

 遺留分侵害額請求権を行使することができるのは、遺留分権利者およびその承継人である(民法1046条)。遺留分権利者が減殺請求することなく亡くなった場合は、その相続人が承継人として、遺留分侵害額の請求をすることができる。遺留分権利者が数人いる場合でも、全員で共同して請求する必要はなく、各自が単独で請求することができる。


(2) 相手方

 受遺者または受贈者である。また、遺言執行者がいる場合、遺言執行者も相手方となる。