• 民法親族・相続ー12.相続人の不存在
  • 4.特別縁故者への財産の分与
  • 特別縁故者への財産の分与
  • Sec.1

1特別縁故者への財産の分与

堀川 寿和2022/01/06 14:21

特別縁故者への財産の分与の意義

 相続人の不存在が確定した場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者)の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部または一部を与えることができる(民法958条の3第1項)。

 例えば、甲が死亡して、相続人がいないことが確定したが、内縁の妻として長年甲の療養看護をしてきた乙が家庭裁判所に甲の財産の分与を請求した場合、家庭裁判所の判断で甲の遺産の全部または一部を乙に与えることができる。この請求は、民法958条の満了後、つまり相続人不存在が確定した後3か月以内にしなければならない(民法958条の3第2項)。


特別縁故者の範囲

① 被相続人と生計を同じくしていた者

② 被相続人の療養看護に努めた者

③ その他被相続人と特別の縁故があった者

特別縁故者は、自然人でも自然人以外の法人または団体であってもよい。


分与の手続き

(1) 分与の申立て

 特別縁故者として分与を受けようとする者は、最終の相続人捜索公告の期間満了後3か月以内に、相続開始地の家庭裁判所に対して相続財産処分の申立をすることができる。


(2) 分与の審判

 家庭裁判所は申立人が特別緑故者であり、かつ相当性があると認めたときは遺産の分与を認める審判をする。特別緑故者であると認められても、分与が相当でないと認定されれば分与は認められない。