- 民法親族・相続ー11.財産分離
- 1.財産分離
- 財産分離
- Sec.1
1財産分離
■財産分離の意義
財産分離とは、相続が開始した場合に、相続財産と相続人の固有財産を分離して、相続債権者(被相続人に対する債権者)や相続人に対する債権者が不当な不利益を受けないようにする制度である。
本来、相続によって相続財産(被相続人の財産)と相続人の固有財産とは混合する。 しかし、そうすると、相続人が債務超過だと相続債権者(被相続人に対する債権者)や受遺者にとって不利となるし、相続財産(被相続人の財産)が債務超過であれば、相続人の債権者が不利となる。そこで相続財産と相続人の固有財産とを分離し、相続財産のみにつき清算を行うことを認めたのが財産分離の制度である。
■第一種財産分離
相続債権者(被相続人に対する債権者)や受遺者の側から財産分離を求めることを、第一種財産分離という。相続債権者または受遺者は、相続開始の時から3か月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる(民法941条1項前段)。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間満了後も、同様とする(同項後段)。
■第二種財産分離
相続人に対する債権者の側から財産分離を求めることを、第二種財産分離という。
相続人が限定承認をすることができる間または相続財産が相続人の固有財産と混同しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる(民法950条1項)。