• 民法親族・相続ー9.相続の効力
  • 4.相続回復請求権
  • 相続回復請求権
  • Sec.1

1相続回復請求権

堀川 寿和2022/01/06 13:36

相続回復請求権の意義

 相続回復請求の制度は、いわゆる表見相続人が真正相続人の相続権を否定し相続の目的たる権利を侵害している場合に、真正相続人が自己の相続権を主張して表見相続人に対し侵害の排除を請求することにより、真正相続人に相続権を回復させようとするものである(最大判昭53.12.20)。

例えば、Aが死亡し、子のB・Cが相続人となった場合には、B・CがAのすべての財産を承継するが、相続人ではない甲が、Aの相続人と称してAの遺産を占有し始めたような場合、甲は、B・Cの相続権を侵害しているといえる。このような場合、B・Cが甲に対して相続回復請求権を行使することができる。



相続回復請求権の当事者

(1) 請求権者

 相続回復請求権利者は、相続権の侵害を受けている真正相続人である。


(2) 相手方

 相続人であると称して相続財産の占有支配をしている者(表見相続人等)である。共同相続人の1人が他の共同相続人の相続権を侵害している場合にも、請求の相手方になる(最判昭53.12.20)。なお、表見相続人等は、相続権を侵害する意思があることを要しない。現に相続財産を占有して、客観的に相続権が侵害されているような事実状態があれば足りる(最判昭39.2.27)。


相続回復請求権の行使方法

 法律上、特に制限はないため、必ずしも訴えの方法によることを要しない。裁判外で請求をすることもできる。