• 民法親族・相続ー8.扶養
  • 5.相続人の廃除
  • 相続人の廃除
  • Sec.1

1相続人の廃除

堀川 寿和2022/01/06 10:51

廃除の意義

 「相続人の廃除」とは、被相続人の請求によって、家庭裁判所が推定相続人の相続権を剥奪することをいう(民法892条)。相続人となるべき者が被相続人に対して虐待をしたり重大な侮辱を加えたような場合でも、相続欠格事由には該当せず、当然に相続権が剥奪されることはないため、被相続人が家庭裁判所に請求し、その審判を経ることにより、相続権を剥奪することができる制度である。


廃除の要件

(1) 廃除される者は遺留分を有する推定相続人であること

 遺留分については後述するが、被相続人が死亡した際に最低限取得することが保障されている相続財産の一定割合をいい、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属)に遺留分が認められる(民法1042条)。よって、遺留分を有しない兄弟姉妹は廃除することができないことになる。もし兄弟姉妹に遺産をやりたくなければ、全財産を他に贈与または遺贈すれば足りるからである。


(2) 廃除事由があること

① 遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をしもしくはこれに重大な侮辱を加えたこと

② 遺留分を有する推定相続人に著しい非行があったこと


廃除の方法

① 生前廃除

被相続人となる者が生前に家庭裁判所に廃除の請求をする場合である。


② 遺言廃除

遺言者が遺言で廃除の意思表示をする場合である(民法893条)。