- 民法親族・相続ー5.後見、保佐および補助
- 3.補助
- 補助
- Sec.1
1補助
■補助の開始
① 補助開始の審判
精神上の障害によって、事理を弁識する能力が「不十分」な者について、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人または検察官の請求によって補助開始の審判をすることができる(民法15条)。
② 補助の開始
補助は、補助開始の審判によって開始する(民法876条の6)。補助開始の審判を受けた者(被補助人)には「補助人」が付けられる(民法16条)。
■補助の機関
① 補助人の選任
補助の機関としては、執行機関としての補助人と、監督機関としての補助監督人がある。
補助監督人は任意機関であるので、必ずしも選任する必要はない(民法876条の8第1項)。
② 補助人の人数
保佐の場合と同じく、補助人•補助監督人は、複数人でもよいし、法人でもよい。
③ 補助人の欠格事由、辞任、解任
いずれも補佐の場合と同様である。
■補助の同意権、取消権、代理権
① 同意権
家庭裁判所は、民法15条1項に規定する者または補助人もしくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為(民法13条1項に規定する行為の一部)をするためにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる(民法17条1項)。ただし、本人以外の者の請求によって同意権付与の審判をするには、被補助人の同意がなければならない(同条2項)。
② 取消権
補助人は、同意権を付与されているときには、その同意を得ないでされた被補助人の行為を取り消すことができる(民法120条1項)。
③ 代理権
補助人は法定代理人ではないから、当然には代理権はない。しかし、家庭裁判所は一定の者の請求により、被補助人のため特定の法律行為につき、補助人に代理権を与える旨の審判をすることができる(民法876条の9第1項)。ただし、被補助人本人以外の者の請求による場合には、本人の同意が必要である(同条2項)。