- 民法債権ー2.債権各論
- 3.贈与契約
- 贈与契約
- Sec.1
1贈与契約
■贈与契約の成立
贈与とは、他人に無償で財産をあげることである。財産をあげる人を「贈与者」、財産をもらう人を「受贈者」という。
贈与契約は、当事者の一方(贈与者)がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方(受贈者)が受諾をすることによって、その効力を生ずる(549条)。
贈与契約は、当事者の合意(口約束)のみで成立し、契約の成立に、書面(契約書)の作成は不要である。しかし、契約を書面によって行ったか否かにより、履行前に解除できるか否かに違いがある。
Point 贈与契約は、片務・無償・諾成契約である。
■書面によらない贈与契約の解除
書面によらない贈与契約(口約束など)は、各当事者が解除をすることができる(550条本文)。ただし、履行の終わった部分については、解除をすることができない(550条ただし書)。
事例 AはA所有の甲土地を口頭でBに贈与した。この場合、Aが甲土地をBに引き渡すまでであれば、A・Bいずれのほうからも、贈与契約を解除することができる。しかし、Aが甲土地をBに引き渡した後は(移転登記がまだであっても)、A・Bいずれのほうからも契約を解除することはできない。
Point 書面による贈与は、解除することができない(履行が終わっていなくても)。