- 民法担保物権ー6.先取特権
- 4.不動産の先取特権
- 不動産の先取特権
- Sec.1
■不動産の先取特権の種類
債権と債務者の特定の不動産との間に特別な関係がある次の3つの場合に、当該不動産を目的として先取特権が認められる。不動産の先取特権は第三者に対抗するために、登記を要する点で動産の先取特権と相違する。
■不動産保存の先取特権
(1) 意義
不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用または不動産に関する権利の保存、承認もしくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する(民法326条)。
動産保存の先取特権と同じ趣旨である。たとえば債務者所有の不動産の修繕をおこなった者や第三者の取得時効を妨げるための時効中断(完成猶予・更新)手続費用(保存費)を支出した者に認められる先取特権である。したがって修繕の程度を超えた改築費用債権は次の不動産工事の先取特権の対象となるため、不動産保存の先取特権の先取特権は成立しない。
(2) 登記の必要性
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない(民法337条)。不動産の先取特権については、登記は第三者対抗要件を超えて、効力要件とされているため、登記がなければ成立しないことになる。