• 民法担保物権ー1.担保物権総論
  • 3.担保物権に共通する性質(通有性)
  • 担保物権に共通する性質(通有性)
  • Sec.1

1担保物権に共通する性質(通有性)

堀川 寿和2021/12/23 15:46

付従性

 担保物権は、債権が存在しなければ成立することはなく、債権が消滅すれば担保物権も消滅する。この性格を「担保物権の付従性」という。

 たとえば、AがBに1000万円貸す際にB所有の土地に抵当権を設定した場合、BがAに全額弁済すればAの債権は消滅し、抵当権も当然に消滅することになる。AのBに対する貸し付けが何らかの原因で無効であれば、債権は成立せず、担保物件も成立しない。


随伴性

 債権担保のための担保物権は、被担保債権が移転すると、それに伴って移転し、元の債権を担保し続ける。これを「担保物権の随伴性」という。

 たとえば、AがBに1000万円貸す際にB所有の土地に抵当権を設定したが、その後AがCにこの貸金債権を譲渡した場合、債権はAからCに移転し、Aの抵当権も当然にCに移転し、以後CのBに対する1000万円の債権を担保することになる。




不可分性

 担保物権は、被担保債権全部の弁済があるまで目的物全部の上に効力を及ぼす。これを「担保物権の不可分性」という。したがって、債権の一部が弁済されてもなお目的物全部に対して権利を行使でき、弁済された部分に応じて目的物の範囲が縮減する訳ではない。

 たとえば、AがBに1000万円貸す際にB所有の土地(100㎡)に抵当権を設定した後、BがAに一部500万円の弁済をしても、Aの抵当権は引き続きB所有の土地全体(100㎡)に及び、50㎡の部分に減縮するわけではない。しかし、担保物権の不可分性については、当事者の特約で排除することは可能であると解される。