• 民法物権ー3.占有権
  • 2.占有の成立要件
  • 占有の成立要件
  • Sec.1

1占有の成立要件

堀川 寿和2021/12/23 13:13

占有権の取得

 占有権は、「自己のためにする意思」をもって物を「所持」することによって取得する(民法180条)。「所持」とは、物に対する事実的支配をいい、必ずしも物理的に物を所持している必要はなく、社会観念上、物がその者の事実的支配下にあると認められる客観的事実があればよい。

 「自己のためにする意思」とは、所持による事実上の利益を自分に帰属させようとする意思をいう。したがって意思無能力者は自己のためにする意思を欠くので、自ら物を占有することによって、その占有を取得することはできない。


占有権取得の態様

 占有権取得の方法には、新しい占有の成立によって占有権を原始的に取得する「占有の原始取得」と、すでに成立している占有権を承継的に取得する「占有の承継取得」とがある。

占有権の承継取得

 社会観念上、占有者の支配がそのまま同一性を保ったまま他に移ったと認められる場合には、占有権の承継ないし移転が認められる。占有権の移転には、次の態様がある。