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1借地借家法

堀川 寿和2021/12/20 16:05

 建物の賃貸借には、原則として、まず「借地借家法」が適用され、これに規定されていない事項については、「民法」が適用される。借地借家法は、建物の賃借人を保護するために、民法の賃貸借のルールを一部修正している。したがって、借地借家法の規定と民法の規定が抵触する場合は、借地借家法の規定が優先適用される。

借地借家法の適用対象

借地借家法は、建物の賃貸借に適用される。



Point1 借地借家法は建物の使用貸借(無償の貸借)には適用されない

建物賃貸借契約の種類

 建物の賃貸借契約は、大きく次の3つに分けられる。


(1) 普通建物賃貸借契約

 普通建物賃貸借契約は、もっとも一般的な建物の賃貸借契約である。普通に建物の賃貸借契約が成立した場合は、この普通建物賃貸借契約となる。期間の定めがある場合とない場合があり、期間の定めがある場合も、その期間が満了すれば、原則として、契約が更新される。


(2) 定期建物賃貸借契約

 書面によって契約をするなど一定の要件を満たす場合に成立するのが、定期建物賃貸借契約である。期間の定めがあり、その期間が満了すれば、必ず契約が終了する。更新が全くない賃貸借契約である。


(3) 一時使用目的建物賃借契約

 ひと夏だけ別荘を貸す場合のような、一時使用目的の建物の賃貸借である。一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、借地借家法の規定は適用されない(借地借家法40条)。したがって、この場合は、民法の賃貸借の規定のみが適用される。


建物賃貸借の期間

(1) 期間の定めがない建物賃貸借

 普通建物賃貸借の場合は、必ず期間を定める必要はなく、期間を定めないこともできる。期間を定めなかった場合は、期間の定めがない建物の賃貸借となる。


(2) 期間の定めがある建物賃貸借

 普通建物賃貸借で、期間を定める場合は、期間を1年以上としなければならない。期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる(借地借家法29条1項)。

 また、民法の賃貸借の存続期間の規定(最長50年)は、建物の賃貸借には適用されない(借地借家法29条2項)。したがって、建物の賃貸借では、50年を超える存続期間を定めても有効となる。


1存続期間を60年と定めた場合存続期間は60年となる。
2存続期間を6ヵ月と定めた場合期間の定めがない賃貸借となる。
3存続期間を定めなかった場合期間の定めがない賃貸借となる。