- 設備・会計ー3.設備・構造
- 9.建築構造
- 建築構造
- Sec.1
1建築構造
■建築物の構造方法
(1) 木造
木造は、主要な構造部分に木材を用いた構造である。
建築基準法上必要な要件を満たせば、3階建て建築物の建築が可能である。
(2) 鉄骨造(S造)
鉄骨造(S造)は、構造上主要な骨組部分に、形鋼、銅板等の鋼材を用いて組み立てた構造である。
鉄骨造の主な特徴は次の通り。
① 鉄骨造は、自重が軽く、靭性が大きいことから、大空間の建築や高層建築の骨組に適している。
② 鉄骨構造は、不燃構造であるが、火熱に遭うと耐力が減少するので、耐火構造にするためには、耐火材料で耐火被覆する必要がある。 ③ 鋼材は、防錆処理を行い耐久力を増す必要がある。 ④ 従来、鉄骨造は、工場、倉庫、体育館、講堂等の単層で大空間をもつ建物や鉄塔等の高い構築物に利用されてきたが、耐火被覆構法の進展や鋼材の加工の良さが見直され、現在、住宅、店舗、事務所、工業化建築等にも進出している。 |
(3) 鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋は引っ張りに強く、コンクリートは圧縮に強いという鉄筋とコンクリートの長所を生かすように合理的に組み合わせた構造である。また、コンクリートは耐火性に優れており、鉄筋は火に弱いためコンクリートで覆うことにより、鉄筋を火から保護している。
鉄筋コンクリート構造は一体式構造であり、柱と梁を一体化した骨組みであるラーメン構造によるものが一般的である。高さ20mを超えるような中高層マンションであっても、鉄筋コンクリート造で建てられている。
鉄筋コンクリート造の中で壁式構造は低層住宅に適した構造といえ、中低層マンションでは壁式構造のものも多い。壁式構造は、一般にラーメン構造と比べて経済的な構造であり、壁の量が多いので、耐震性にも優れている。
鉄筋コンクリート造の主な特徴は次の通り。
① 一般に、鉄骨造に比べ耐火性に優れている。
② 耐久性があり、耐震性、耐風性にも優れた構造である。 ③ 鋳造によりつくることができるため骨組形態を自由にできる。 ④ 自重が大きく、施工期間が長い。 |
鉄筋コンクリート造の建築物を建築する工法の1つに、プレキャストコンクリート(PCa)工法がある。プレキャストコンクリート工法は、鉄筋コンクリートの部材を工場または現場構内で製造し、これを現場で組み合建てる工法である。プレキャストコンクリートと現場打コンクリートを併用する工法が採用されることも多い。
(4) 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
① 鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨骨組の周りに鉄筋を配しコンクリートを打ち込んだ構造である。力学的には、鉄骨造と鉄筋コンクリート造それぞれの長所を生かした構造であり、鉄筋コンクリート造よりさらに靭性(粘り強さ)の高い耐震耐火構造である。したがって、鉄骨鉄筋コンクリート造は、一般に鉄筋コンクリート造に比べ耐震性に優れている。
鉄骨鉄筋コンクリート造は、高層建築物に適しており、柱間のスパンを大きく取ることが可能となる。
② 建築基準法による規制
イ) 鉄骨のかぶり厚さ
国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材および国土交通大臣の認定を受けた部材を除き、鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さは、5㎝以上としなければならない。
ロ) 鉄骨鉄筋コンクリート造に対する鉄骨造および鉄筋コンクリート造の規定の準用
鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物または建築物の構造部分については、柱の防火被覆など一部の規定を除き、鉄骨造および鉄筋コンクリート造の規定の準用の規定が準用される。
■建築物の構成部分
建築物は、上部構造と基礎構造からなる。
(1) 基礎構造
基礎構造は上部構造を支持する役目を負うものである。
基礎の種類には、直接基礎、杭基礎等がある。
① 直接基礎
直接基礎とは、上部構造からの荷重を杭などを用いずに直接地盤に伝える基礎をいう。
② 杭基礎
杭基礎には、支持方式により、支持杭と摩擦杭がある。同一の建築物では、支持杭と摩擦杭の混用は避けるべきである。
(2) 上部構造
① 柱
柱には、一般に圧縮力、曲げモーメントおよびせん断力が作用する。
② 梁(はり)
梁(はり)には大梁と小梁があり、一般に小梁の支える床荷重は、大梁に伝達される。
③ 壁
耐震壁は、一般に柱・梁と一体となった壁であり、主として水平荷重を負担し、耐震要素として期待できる。