- 設備・会計ー3.設備・構造
- 7.その他の設備
- その他の設備
- Sec.1
1その他の設備
■ガス設備
(1) 都市ガスとLPガス
マンションに供給されるガスは、おもに、都市ガスとLPガスに分けることができる。
① 都市ガス
都市ガスは、主成分がメタンである。圧縮しても常温では気体であるため、都市ガス事業者によって、地下に埋設されたガス導管を用いて供給される。ガスは無色無臭だが、ガス漏れ時に気が付くように匂いが付けてある。一般に、空気よりも軽い。
② LPガス
LPガスは、主成分がプロパンやブタンである。圧縮すると常温でも液化するという性質があるため、ボンベに充てんして運搬することができる。ガスは無色無臭だが、ガス漏れ時に気が付くように匂いが付けてある。空気よりも重い。都市ガスのガス管網がない地域では、LPガスが用いられる。
(2) ガス設備の安全システム
① マイコンメーター
マイコンメーターは、ガスメーターにマイクロコンピュータを組み込んで、ガスの使用状況を常時監視するものである。地震や異常なガスの流れなどを感知して、ガスの供給を遮断したり(遮断機能)、警報機能で異常を知らせたりする機能を有する。マイコンメーターが働くのは、次のような場合である。
イ) ガスが多量に流れた場合(遮断機能)
ガス管の破損などで、多量にガスが流れたり、急にガスの流量が増えたりした場合に、ガスの供給を遮断する。 ロ) ガスが長時間流量の変動なく流れた場合(遮断機能) ガス機器の消し忘れなど、ガスが異常に長い時間流量の変動なく流れつづけると、ガスの供給を遮断する。 ハ) 大きな地震を感知した場合(遮断機能) 震度5相当以上の地震を感知すると、ガスの供給を遮断する。 ニ) ガスの圧力が低下した場合(遮断機能) ガス管のトラブルなどで、ガスの圧力が一定の基準値よりも低下すると、ガスの供給を遮断する。 ホ) 30日以上連続してガスが流れつづけた場合(警報機能) ガスの微量な漏れなど、30日以上連続してガスが流れつづけた場合は、ガス漏れの疑いがあると判断して、警報ランプを点滅させて表示する。 |
② ガス漏れ警報器
ガス漏れ警報器とは、ガス漏れ事故を未然に防ぐために、ガス漏れが発生した場合に、警報音や音声によってガス漏れを知らせる装置である。ガス漏れだけでなく、不完全燃焼による一酸化炭素の発生や火災を検知できるものもある。
ガス漏れ警報器の検知器の設置位置は都市ガスとLPガスで異なる。都市ガスは、一般に空気よりも軽いため、ガス検知器の下端が天井面の下方30㎝以内で、燃焼機からの水平距離が8m以内となる同一室内の壁面または天井面に設置しなければならない。LPガスは空気よりも重いため、検知器の上端は床面の上方30㎝以内で、燃焼機からの水平距離4m以内となる同一室内の壁面に設置しなければならない。都市ガスでも空気より重いガスの場合は、LPガスと同様の設置位置となる。ガス漏れ警報器の警報部は検知器と有効に連動しており、通電している旨の表示等が設けられなければならない。
ガス漏れ警報器の有効期限は5年とされており、5年を経過した警報器は交換しなければならない。
③ ヒューズ機能付きガス栓
一般に使用されるガス栓としては、ヒューズ機能付きガス栓が用いられる。ヒューズ機能付きガス栓とは、一度に大量のガスが流れたり、ガスコードが切れたり外れたりしたときに、ガスを自動的に止める機能が付いたガス栓である。
④ ガスふろがまの安全装置等
ガスふろがまには、立消え安全装置、過熱防止装具、空だき防止装置の装着が法令で義務付けられている。
(3) 建築基準法による規制
3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備は、国土交通大臣が安全を確保するために必要があると認めて定める基準安全によらなければならない。この基準は、3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスの配管設備の基準(昭56建設省告示1099号)で定められている。
① 3階以上の階を共同住宅の用途に供する建築物の住戸に設けるガスせん(バルコニーその他漏れたガスが滞留しない場所に設けるものを除く)の構造は、国土交通大臣が定める技術的基準に適合する構造としなければならない。
② このガスせんの構造を、国土交通大臣が定める技術的基準に適合する構造としない場合は、ガス漏れを検知し、警報する設備(以下「ガス漏れ警報設備」という)を設けなければならない。 ③ このガス漏れ警報設備は、警報部に通電している旨の表示が設けられていなければならない。 |
■給湯設備
給湯設備とは、風呂場や洗面所、台所などに加熱した水を供給するための設備である。水を加熱するための熱源としては、ガスや電気がある。
(1) 給湯方式
給湯方式には局所方式と中央給湯方式(セントラル方式)に分類することができる。
① 局所給湯方式
局所給湯方式は、湯を必要とする箇所ごとに小型の給湯器を設ける方法である。
② 中央給湯方式
中央給湯方式は、セントラル方式ともいい、給湯器を1か所にもうけ、ここから湯を必要とする箇所に配管で給湯する方法である。中央給湯方式は給湯器を住戸単位で設けるか住棟単位で設けるかによってさらに分けることができる。
イ) 住戸セントラル方式
給湯器を住戸単位で設ける方法を住戸セントラル方式という。マンションでは一般的にこの方式が採用されている。
ロ) 住棟セントラル方式
給湯器を住棟単位で設ける方法を住棟セントラル方式という。共用の機械室などに大型のボイラーや貯湯槽、ポンプなどを設けて、各住戸の湯を必要とする箇所に配管で給湯する方式である。
(2) 加熱方法
加熱方法は、貯湯式と瞬間式に分けることができる。
① 貯湯式
貯湯式は、電気温水器によって水を加熱してから貯湯槽にためておき、この湯を配管によって必要箇所に給湯する方法である。貯湯式給湯器には、料金の安い深夜電力を利用し、夜間に一定量の水を加熱して貯湯する方式のものがある(深夜電力利用温水器)。
貯湯式給湯器は、給湯器に入る水の圧力を下げるため、一般に水道減圧弁を介して給水管に直結される。この弁には逆止め機構が内蔵されており、湯が逆流しない構造となっている。また、貯湯式給湯器には、出口側に逃がし弁(機体内の圧力を減圧する弁)を設置しなければならない。これは、給湯器内の圧力をコントロールするためのもので、湯沸し時などに給湯器内の圧力が一定以上になると弁が作動して蒸気や湯などを放出する。
東日本大震災で貯湯式の給湯設備に被害が多かったことから、告示(平成12年建設省告示第1388号)が改正され、人が危害を受けるおそれのない場合等を除き、設置場所、満水時の質量、アスペクト比ごとに、建築物の部分等に固定するアンカーボルトの種類・本数などが規定された。
② 瞬間式
瞬間式は、ガス瞬間式給湯器によって、必要時に水を加熱して湯を給湯する方法である。ガス瞬間式給湯器は、ガスで水を直接加熱する給湯器である。
ガス瞬間式給湯器には、常に最良の空気・ガスの比率で燃焼させる空燃比制御方式や、種火のないダイレクト着火方式のものがある。
ガス給湯器の給排気方式には、密閉式で送風機を用いない自然給排気式(BF式)や、密閉式で送風機を用いる強制給排気式(FF式)がある。密閉式とは、給湯器は屋内に設置するが、給排気は屋外に向けて開口した専用給排気筒を使用して行うものである。これに対して、屋内の空気を給気して排気は屋外にするものを半密閉式、屋内で給排気とも行うものを開放式という。給湯器自体を屋外に設置する屋外設置式もある。
自動湯温安定式のガス瞬間式給湯器には、60℃以上の固定された出湯温が得られる固定湯温式と、出湯温度の設定が可変の可変湯温式がある。
ガス瞬間式給湯器の能力表示に用いられる単位の1号は、毎分流量1ℓの水の温度を25℃上昇させる能力をいい、1.74kWに相当する。
ガス瞬間式給湯器には元止め式と先止め式とがあり、住戸セントラル方式に用いられるのは先止め式である。元止め式とは、給湯器本体にある栓を操作することにより給湯する方式であり、先止め式とは、給湯器本体から給湯配管をし、その末端の蛇口などの水栓を操作することにより給湯する方式である。
(3) 省エネタイプの給湯機
① 潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)
省エネタイプのガス給湯器として、潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)がある。
潜熱回収型ガス給湯器とは、従来のガス給湯器の燃焼ガス排気部に給水管を導き、燃焼時に熱交換して昇温してから、これまでと同様に燃焼部へ水を送り再加熱するものである。
② 自然冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)
省エネタイプの電気給湯器として、自然冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)がある。
ヒートポンプ給湯器とは、エアコンの暖房と同じ原理で大気熱を利用して水を加熱する給湯器であるが、自然冷媒ヒートポンプ給湯器とは、冷媒にフロンなどを使用せずに、二酸化炭素を利用したヒートポンプ給湯器である。
自然冷媒ヒートポンプ給湯器の加熱効率(COP)(加熱量[kWh]/ヒートポンプ入力電力量[kWh])は、年間平均でほぼ3である。つまり、電力のみで水を加熱する場合に比べて電力消費量が約3分の1で済むということである。
(4) 配管方式・水栓
① さや管ヘッダー方式
さや管ヘッダー方式とは、マンションなど共同住宅で採用される給湯・給水配管方式のひとつである。各種の給湯・給水器具への配管を途中で分岐させることなく、給湯器付近に設けたヘッダーとよばれる部分で給湯・給水管を分岐させ器具まで直接配管する。また、さや管とよばれるパイプの中に樹脂管を通管する構造となっている。樹脂管のため腐食や赤水の発生がない。補修等で配管の更新が必要になったときも、ヘッダー部分でその配管部分のみ給湯・給水を止めるだけでよく、樹脂管の取り換えも容易に行うことができる。また、配管口径が適切であれば、水栓同時使用時の流量変動は小さく、湯待ち時間も短縮できる。
② サーモスタット式混合栓
サーモスタット式混合栓とは、湯と水を混合して1つの蛇口から流し出す構造の水栓のうち、サーモスタットにより温度調節ができるものである。浴室や洗面台などで使用される。サーモスタット式混合栓を用いると、混合栓での設定温度と混合栓に供給される湯温の差にかかわらず、安定した出湯温度が得られる。
■換気設備
換気設備とは、給気および排気によって、室内の空気の入れ替えを行うための設備をいう。断熱化・気密化技術の向上により、室内が高湿度になることによる結露やカビ・ダニの発生、建材から発生する揮発性有機化合物によるシックハウス症候群などの問題が生じている。室内の空気を清浄に保ち、また、温度や湿度を適正に保つために、適切な換気設備が設けられなければならない。
(1) 換気方式
換気方式には、換気のために機械を使用するか否かにより、自然換気方式と機械換気方式の2つに分類することができる。
① 自然換気方式
自然換気方式は、給気口と排気口を設けるのみで、機械を用いない換気方式である。空気は暖まると上昇する性質があるので、給気口よりも上方に排気口を設けることで換気が効果的に行われ、高低差が大きいほど換気の効果も高くなる。
② 機械換気方式
機械換気方式は、給気や排気の際に給気ファンや排気ファンといった機械(ファン)を用いて強制的に換気する換気方式である。機械換気方式は、給気と排気の際にファンと自然換気をどのように組み合わせて用いるかにより、第一種機械換気方式、第二種機械換気方式および第三種機械換気方式の3つの方式に分類される。
イ) 第一種機械換気方式
第一種機械換気方式は、給気にも排気にもファンを用いる方法である。給気ファンと排気ファンの回転数を調整することで、室内の圧力を正圧(大気圧よりも高い気圧)にすることも負圧(大気圧よりも低い気圧)にすることもできる。この換気方式は実験室などで用いられる。
ロ) 第二種機械換気方式
第二種機械換気方式は、給気にのみファンを用い、排気は自然排気とするものである。室内は正圧となるため、室内への汚染空気の流入を防ぐことができるため、手術室など、室内の空気を清浄に保ちたい部屋などで用いられる。
ハ) 第三種機械換気方式
第三種機械換気方式は、自然吸気口から外気を供給し、室内空気を排気ファンによって排出する換気方式である。室内は負圧となるため、便所や浴室など、汚染物質が発生しやすい場所で用いられることが多い。また、台所などでも使用され、この方式は、マンションでは多く採用されている。
(2) 換気のための開口部
居住のための居室の換気を確保するために、建築基準法で基準が定められている。
居室には、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合を除いて、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して20分の1以上としなければならない。
(3) 換気設備の技術的基準
換気のための開口部を設けない場合は、一定の技術的基準に適合した換気設備を設けなければならない。この基準は、自然換気方式を用いる自然換気設備と機械換気方式を用いる機械換気設備に分けて定められている。
① 自然換気設備
建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く)に設ける自然換気設備は次に定める構造としなければならない。
イ) 換気上有効な給気口および排気筒を有すること。
ロ) 給気口は、居室の天井の高さの2分の1以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造とすること。 ハ) 排気口(排気筒の居室に面する開口部をいう)は、給気口より高い位置に設け、常時開放された構造とし、かつ、排気筒の立上り部分に直結すること。 ニ) 排気筒は、排気上有効な立上り部分を有し、その頂部は、外気の流れによって排気が妨げられない構造とし、かつ、直接外気に開放すること。 ホ) 排気筒には、その頂部および排気口を除き、開口部を設けないこと。 へ) 給気口および排気口並びに排気筒の頂部には、雨水またはねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。 |
② 機械換気設備
建築物に設ける機械換気設備は、次に定める構造としなければならない。
イ) 換気上有効な給気機および排気機、換気上有効な給気機および排気口または換気上有効な給気口および排気機を有すること。
ロ) 給気口および排気口の位置および構造は、当該居室内の人が通常活動することが想定される空間における空気の分布を均等にし、かつ、著しく局部的な空気の流れを生じないようにすること。 ハ) 給気機の外気取り入れ口並びに直接外気に開放された給気口および排気口には、雨水またはねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものを防ぐための設備をすること。 ニ) 直接外気に開放された給気口または排気口に換気扇を設ける場合には、外気の流れによって著しく換気能力が低下しない構造とすること。 ホ) 風道は、空気を汚染するおそれのない材料で造ること。 |
(4) 火気を使用する部屋の換気設備
建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備もしくは器具を設けたものには、原則として、政令で定める技術的基準に従って、換気設備を設けなければならない。
調理室等火気を使用する部屋に設けるべき換気設備は、次に定める構造としなければならない。
① 換気設備の構造は、次のイまたはロのいずれかに適合するものとすること。
イ) 次に掲げる基準に適合すること(主なもの)。
② 給気口は、火を使用する設備または器具の燃焼を妨げないように設けること。 ③ 排気口およびこれに接続する排気筒ならびに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。 ④ 火を使用する設備または器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。 |
Point1 火気を使用する部屋の必要有効換気量は、(定数)×(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備または器具の実況に応じた燃料消費量(実際の燃料消費量))で求められる。
Point2 火を使用する設備または器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね20.5%以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものは、有効換気量についての規制は受けない。
Point3 シックハウス対策用の換気設備(後述)を設けた場合であっても、火気を使用する部屋の換気設備の設置は免除されない。
(5) シックハウス対策のための換気設備等の規制
シックハウス症候群とは、住宅に使用される建築材料や家具などから様々な化学物質が発散し、化学物質の濃度が高い空間で長期間生活を続けることによって、目・鼻・のどの痛みやめまい、吐き気、頭痛など、健康に有害な影響が出ることをいう。これを防止するために、建築材料や家具などに含まれる化学物質の量を減らすとともに、適正な換気を行って室内の空気を清浄にしておく必要がある。
建築基準法では、石綿(アスベスト)、クロルピリホスおよびホルムアルデヒドの3つの物質が、健康に有害な物質として、使用等が規制されている。
① 石綿(アスベスト)
石綿とは、天然の鉱石である蛇紋石や角閃石が繊維状になったもので、高い耐熱性を有していたことから建築物の断熱材や防火剤などとして使用されてきたが、建築物を解体する際に飛散した石綿繊維を吸入すると癌などの発症リスクが高まることが判明し、使用が禁止されている。アスベストが原因で発症する中皮腫の潜伏期間は20年から50年と非常に長いことが特徴である。
石綿は、鉱石の種類により分類できるが、クリソタイル(白石綿)は、クロシドライト(青石綿)やアモサナイト(茶石綿)などに比べ癌などの発症リスクは低い。ロックウールは石綿と似ているが岩石やスラグを原料に作られた人工の鉱物繊維であり、発がん性はないとされている。
石綿は、呼吸器からの吸入に比べ経口摂取に伴う毒性はきわめて小さいとされる。厚生労働省によれば、「世界保健機構(WHO)が策定・公表している飲料水水質ガイドラインにおいても、飲料水中のアスベストについては『健康影響の観点からガイドライン値を定める必要はないと結論できる』」としている。
② 石綿その他の物質の飛散または発散に対する衛生上の措置
建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散または発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
イ) 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(以下「石綿等」という)を添加しないこと。
|
③ クロルピリホスおよびホルムアルデヒドの使用制限等
イ) クロルピリホスの使用禁止
クロルピリホスは殺虫効果がある化学物質であり、白アリ駆除剤などの殺虫剤として用いられる。
建築材料についてのクロルピリホスに関する政令で定める技術的基準は、次のとおり。
(a) 建築材料にクロルピリホスを添加してはならない。
(b) クロルピリホスをあらかじめ添加した建築材料(添加したときから長期間経過していることその他の理由によりクロルピリホスを発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたものを除く)を使用してはならない。 |
ロ) ホルムアルデヒドの使用制限
ホルムアルデヒドは、建築材料や家具、壁紙などの接着剤や塗料などに含まれる化学物質である。建築基準法では、ホルムアルデヒド発散建築材料として、合板、集成材、保温材、緩衝材、断熱材、壁紙、塗料、接着剤などが指定されている。
ホルムアルデヒド発散建築材料は、夏季におけるその表面積1㎡あたりの発散量が多いほうから、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料、および第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の3つに分類される。
建築材料についてのホルムアルデヒドに関する政令で定める技術的基準は、次のとおり。
(a) 居室の壁、床および天井ならびにこれらの開口部に設ける戸その他の建具の室内に面する部分(以下「内装」という)の仕上げには、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用してはならない。
(b) 居室の内装の仕上げに、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料または第3種ホルムアルデヒド発散建築材料を使用するときは、それぞれ、使用する内装の仕上げの部分の面積に一定の数値を乗じて得た面積が、当該居室の床面積を超えてはならない。 |
ホルムアルデヒドを発散させる建築材料であっても、第1種、第2種および第3種ホルムアルデヒド発散建築材料に該当しないものは、制限なしに使用することができる。
ハ) 機械式換気設備の設置義務
内装の仕上げにホルムアルデヒド発散建築材料を使用していなくても、家具等からホルムアルデヒドが発散することもあるので、原則として、すべての建築物に機械式換気設備を設けることが義務付けられている。
換気設備についてのホルムアルデヒドに関する政令で定める技術的基準は、次のとおり。
居室には、一定の構造の機械換気設備を設けなければならない。
|
1年を通じて、居室内の人が通常活動することが想定される空間のホルムアルデヒドの量を空気1㎥につきおおむね0.1㎎以下に保つことができるものとして、国土交通大臣の認定を受けた居室については、政令で定めて技術的基準を満たした換気設備を設けなくてもよい。