- 設備・会計ー3.設備・構造
- 4.排水設備
- 排水設備
- Sec.1
1排水設備
■排水の種類
マンションの排水は、汚水、雑排水、雨水に大別される。
① 汚水
汚水とは、し尿を含む排水のことで、おもにトイレからの排水である。
② 雑排水
雑排水とは、マンションの排水のうち汚水および雨水を除くものであり、台所・浴室・洗面所などからの排水はすべて雑排水である。
③ 雨水
雨水とは、降雨や雪解けなど自然現象に起因する水のことである。
■排水の方法
汚水や雑排水は、洗面器・流し・便器・浴槽などから排水トラップ、器具排水管、排水横枝管、排水立て管、排水横主管、屋外の排水設備を経て、公共下水道が敷設されている地域では、公共下水道に直接放流される。公共下水道が敷設されていない地域では、汚水や雑排水を敷地内に設置した浄化槽で一定の水質まで処理したあとでなければ、海や河川などの公共用水域等に放流することができない。
■排水の方式と分類
排水の方式にはいくつかの分類方法がある。
(1) 排水系統による分類
排水の方式は、異なる種類の排水を同一の系統で排水するか別々の系統により排水するかにより、合流式と分流式に分類することができる。ただし、それが、マンション敷地内の排水方式か公共下水道の排水方式かで内容がやや異なる。
① マンション敷地内の排水方式
マンション敷地内では、雨水はかならず汚水や雑排水とは別の排水系統で排水する。
合流式 | 汚水と雑排水を同一の系統で排水する。 |
分流式 | 汚水と雑排水とを別々の系統で排水する。 |
② 公共下水道の排水方式
合流式 | 汚水、雑排水および雨水を同一の系統で排水する。 |
分流式 | 汚水と雑排水を同一の系統で、雨水をこれとは別の系統で排水する。 |
(2) 敷地内から公共下水道への排水方式による分類
排水の方式は、敷地内から公共下水道への排水の放流方法により、重力式排水方式と機械式排水方式に分類することができる。
① 重力式排水方式
重力式排水方式は、建物の排水横主管が公共下水道より高所にある場合に採用される。液体は高いところから低いところへ流れるという性質を利用し、勾配をつけた排水横主管で下水を自然流下させて公共下水道に放流する方式である。
② 機械式排水方式
機械式排水方式は、地下階など建物の排水設備などが公共下水道よりも低い位置にあって重力式排水方式を採用することが困難な場合に採用される。地下階に排水槽などを設けていったん下水を貯留し、これをポンプでくみ上げて公共下水道に放流する方式である。
(3) 水受け容器と排水管の接続方式による分類
排水の方式は、洗面器・流し・浴槽・便器などの水受け容器と排水管とを直接接続するかしないかにより、直接排水と間接排水に分類することができる。
① 直接排水
直接排水とは、水受け容器の排水管を一般の排水管に直接接続して排水する方式である。この場合、衛生上、排水トラップを設置しなければならない。
② 間接排水
間接排水とは、水受け容器の排水管と一般の排水管との間に一定の排水口空間を設けて排水する方法をいう。間接排水は、水道の受水槽のオーバーフロー管など、水受け容器の排水管と一般の排水管を直接接続すると衛生上の問題が生じるなど、直接排水が適さない場合に用いられる。直接排水だと、一般の排水管の詰まりなどにより汚水が逆流したときに、汚水がこれらの機器に入り込んでしまうし、また、排水トラップの封水が破れたときに、排水管から虫や臭気、ガスなどがこれらの機器に侵入する可能性があるためである。間接排水は、汚水や雑排水の排水には用いられない。
次の機器の排水管等は間接排水にしなければならないとされる(昭50建設省告示1597号第2)。
ⅰ)冷蔵庫、水飲器その他これらに類する機器の排水管
ⅱ)滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管 ⅲ)給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管 ⅳ)給水タンク等の水抜き管、オーバーフロー管 |
排水口空間とは、間接排水管の管端と、一般の排水系統に直結している水受け容器または排水器具のあふれ縁との間の垂直距離をいう。間接排水管の管径に応じて排水口空間の最小距離が定められている。管径が太いものほど排水口空間は大きくなっている。なお、水道の受水槽など飲料水用の貯水タンクの場合は、間接排水管の管径にかかわらず、排水口空間は最小150㎜とされる。
【排水口空間】
間接排水管の管径 | 排水口空間 |
25㎜以下 | 最小50㎜ |
30㎜~50㎜ | 最小100㎜ |
65㎜以上 | 最小150㎜ |