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1その他各種の法令

堀川 寿和2021/12/16 13:11

警備業法

(1) 警備業法の目的

 「警備業法」は、警備業について必要な規制を定め、もって警備業務の実施の適正を図ることを目的とする。


(2) 警備業

 警備業法の規制の対象となるのは「警備業」である。


① 警備業

 「警備業」とは、警備業務を行う営業をいう。


② 警備業務

 「警備業務」とは、下記のいずれかに該当する業務であって、他人の需要に応じて行うものをいう。

(a) 警備業務対象施設(事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
(b) 人・車両の雑踏する場所またはこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
(c) 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務


③ 機械警備業務

 「機械警備業務」とは、警備業務用機械装置(警備業務対象施設に設置する機器により感知した盗難等の事故の発生に関する情報を当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、および受信するための装置で内閣府令で定めるものをいう。)を使用して行う上記②の警備業務をいう。


Point 警備業務対象施設に各種のセンサー等を設置し、それらの端末機器が感知した情報をその施設内に設けた受信機で受信することで、警備員が対応するシステムは、機械警備業務ではない。


④ 機械警備業

 「機械警備業」とは、機械警備業務を行う警備業をいう。


Point 機械警備業も、警備業に含まれる。

(3) 警備業の欠格要件および警備業の認定

① 警備業の欠格要件

 警備業の欠格要件に該当する者は、警備業を営んではならない。

 おもな欠格要件は以下のとおり。

(a) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
(b) 禁錮以上の刑に処せられ、または警備業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者


Point 成年被後見人、被保佐人、被補助人は欠格要件ではなく、警備業を営むことができる


② 警備業の認定

 警備業を営むためには、警備業の欠格要件に該当しないことにつき、都道府県公安委員会の認定を受けなければならない。この認定を受けて警備業務を営む者を警備業者という。


Point マンションの警備業務の委託を受けるビルメンテナンス業者が、その警備業務の全部を他の警備業者に再委託する場合であっても、当該ビルメンテナンス業者は、警備業の認定を受ける必要がある


③ 名義貸しの禁止

 警備業者は、自己の名義をもって、他人に警備業を営ませてはならない。

 これに違反して他人に警備業を営ませた者は、100万円以下の罰金に処される。


(4) 警備員

① 警備員

 「警備員」とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するものをいう。


② 警備員の制限

 警備員の欠格要件に該当する者は、警備員となってはならない。また、警備業者は、警備員の欠格要件に該当する者を警備業務に従事させてはならない。

 おもな欠格要件は以下のとおり。

(a) 18歳未満の者
(b) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
(c) 禁錮以上の刑に処せられ、または警備業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者


Point 18歳未満の者は、警備員となってはならず、また、警備業者は、18歳未満の者を警備業務に従事させてはならない。

(5) 警備業務実施上の義務

① 警備業務実施の基本原則

 警備業者および警備員は、警備業務を行うにあたっては、警備業法により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利および自由を侵害し、または個人もしくは団体の正当な活動に干渉してはならない。


② 服装

 警備業者および警備員は、警備業務を行うにあたっては、内閣府令で定める公務員の法令に基づいて定められた制服と、色、型式または標章により、明確に識別することができる服装を用いなければならない。これは、警察官などと誤認されることのないようにするためである。


Point1 警備業者・警備員の服装については、「」「形式」「表章」が規制されている。


Point2 警備業者は、マンションの警備業務を委託した者からの犯罪に対する警戒強化の要望に対応するためであったとしても、そのマンションの警備業務に従事する警備員の服装を警察官の制服とほぼ同じものにすることはできない


③ 護身用具の届出

 警備業者は、警備業務を行おうとする都道府県の区域を管轄する公安委員会に、当該公安委員会の管轄区域内において警備業務を行うに当たって携帯しようとする護身用具の種類、規格その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。

 警備業者および警備員は、この届出をした護身用具を携帯することができる。


Point1 護身用具の届出の届出先は、「警備業者の主たる営業所の所在地」を管轄する公安委員会ではない。


Point2 警備業者は、警備業務に従事する警備員に、公安委員会に届けていない護身用具携帯させることはできない


④ 書面の交付

(a) 契約締結前の書面の交付

 警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。


Point1 この書面の交付は、依頼者からの要求がなくても行わなければならない。


Point2 機械警備業務を行う契約では「基地局および待機所の所在地」などが記載事項となる。

(b) 契約締結後の書面の交付

 また、警備業者は、警備業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、所定の事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。


(c) 電磁的方法による提供

 上記(a)(b)いずれの書面の交付も、書面の交付に代えて、依頼者の承諾を得て、電磁的方法により提供することが認められている。


⑤ 苦情の解決

 警備業者は、常に、その行う警備業務について、依頼者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。


Point 警備業者は、マンションの警備業務を依頼した者から当該警備業務に従事する警備員に対して苦情があった場合と同様に、当該マンションの周辺住人からの苦情に対しても、適切な解決に努める義務がある。


(6) 機械警備業

① 機械警備業務の届出

機械警備業者〔機械警備業を営む警備業者〕は、機械警備業務を行おうとするときは、基地局〔当該機械警備業務に係る受信機器を設置する施設〕または送信機器を設置する警備業務対象施設の所在する都道府県の区域ごとに、当該区域を管轄する公安委員会に、所定の事項を記載した届出書を提出しなければならない。


Point 機械警備業者が機械警備業務を行おうとする場合に必要なのは、公安委員会への届出であり、「公安委員会の許可」ではない。


② 機械警備業務管理者

 機械警備業者は、基地局ごとに、警備業務用機械装置の運用を監督し、警備員に対する指令業務を統制し、その他機械警備業務を管理する業務で内閣府令で定めるものを行う機械警備業務管理者を、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。


③ 即応体制の整備

 機械警備業者は、都道府県公安委員会規則で定める基準に従い、基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合に、速やかに、現場における警備員による事実の確認その他の必要な措置が講じられるようにするため、必要な数の警備員、待機所(警備員の待機する施設をいう。)および車両その他の装備を適正に配置しておかなければならない。


自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)

(1) 「自動車の保管場所の確保等に関する法律」の目的

 「自動車の保管場所の確保等に関する法律」は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止および道路交通の円滑化を図ることを目的とする。


(2) 保管場所の確保

 自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、車庫など当該自動車の保管場所を確保しなければならない。

 この保管場所は、「当該自動車の使用の本拠の位置との間の距離が、2㎞を超えないもの」でなければならない。


(3) 保管場所の確保を証する書面の提出等

 自動車(軽自動車、小型特殊自動車および二輪の小型自動車を除く)について、「道路運送車両法」に規定する「自動車登録」、「使用の本拠の位置の変更登録」または「使用の本拠の位置の変更を伴う移転登録」の処分を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面〔いわゆる「車庫証明」〕を提出しなければならない。


(4) 軽自動車の場合

 軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他所定の事項を届け出なければならない。


Point1 軽自動車については、届出は必要であるが、「車庫証明」を提出する必要はない。


Point2 届出の対象となるのは軽自動車のみであり、自動二輪車は対象外である。


(5) 保管場所としての道路の使用の禁止等

 何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。

 何人も、原則として、以下の行為は、してはならない。

① 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
② 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為


Point 駐車禁止の標識が立っていない道路であっても、自動車の保管場所として使用することはできない。


(6) 罰則

 この法律に関する違反行為をした場合、行為者に対しては罰則が科される。

 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関し、この法律に関する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、罰金刑が科される(両罰規定)。


動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)

(1) 「動物の愛護及び管理に関する法律」の目的および基本原則

 「動物の愛護及び管理に関する法律」は、動物の虐待および遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康および安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛および平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体および財産に対する侵害ならびに生活環境の保全上の支障を防止し、もって人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。


(2) 動物の所有者または占有者の責務等

① 動物の所有者または占有者の責務

 動物の所有者または占有者に課される責務は、以下のとおり。

(a) 動物の所有者または占有者は、命あるものである動物の所有者または占有者として動物の愛護および管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、または保管することにより、動物の健康および安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体もしくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、または人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
(b) 動物の所有者または占有者は、その所有し、または占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
(c) 動物の所有者または占有者は、その所有し、または占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


② 動物の所有者の責務

 動物の所有者に課される責務は、以下のとおり。

(a) 動物の所有者は、その所有する動物の飼養または保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、「終生飼養」(当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること)に努めなければならない。
(b) 動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
(c) 動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。

 (c)の「その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるもの」とは、所有者の連絡先を記したマイクロチップ、名札、脚環などの標識を動物につけることである。


(3) 犬および猫の引取り

 都道府県等(都道府県および指定都市、中核市その他政令で定める市(特別区を含む)をいう。)は、犬または猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。