- 適正化法ー8.建築基準法
- 2.単体規定
- 単体規定
- Sec.1
1単体規定
「単体規定」とは、建物の安全性や、衛生面について規定するものである。建物は、日本全国どこにあっても安全、かつ衛生的でなくてはならないので、単体規定は日本全国の建物に適用される。建物が単体(一つだけ)であっても適用されるということである。
■構造耐力
(1) 構造耐力
建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧および水圧ならびに地震その他の震動および衝撃に対して安全な構造のものとして、次の基準に適合するものでなければならない。
① 高さが60mを超える建築物
建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合しなければならない。また、その構造方法は、政令で定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けなければならない。
Point 高さが60mを超える建築物は、構造計算によって安全性が確かめられたものとして、国土交通大臣の認定を受けなければならない。
② 高さが60m以下の建築物のうち、次のもの
イ 木造の建築物で3以上の階数を有し、または延べ面積が500㎡、高さが13mもしくは軒の高さが9mを超えるもの
ロ 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、または延べ面積が200㎡を超えるもの |
建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合しなければならない。また、その構造方法は、政令で定める基準に従った構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるものまたは国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによって確かめられる安全性を有しなければならない。
(2) 建築物に作用する積載荷重および外力
① 積載荷重
床の単位面積当たりの積載荷重は、構造計算の対象により異なる。その数値を大きい順に並べると、[床の構造計算をする場合]、[大ばり、柱または基礎の構造計算をする場合]、[地震力を計算する場合]である。
② 積雪荷重
積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積およびその地方における垂直積雪量を乗じて計算しなければならない。
積雪荷重=[積雪の単位荷重]×[屋根の水平投影面積]×[その地方における垂直積雪量] |
積雪の単位荷重は、積雪量1㎝ごとに20ニュートン/㎡以上としなければならない。ただし、特定行政庁は、規則で、国土交通大臣が定める基準に基づいて多雪区域を指定し、その区域につきこれと異なる定めをすることができる。
③ 風圧力
風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。
風圧力=[速度圧]×[風力係数] |
④ 地震力
建築物の地上部分の地震力については、その建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算する。
その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。
地震力=[当該部分の固定荷重と積載荷重との和]×[当該高さにおける地震層せん断力係数] |
特定行政庁が指定する多雪区域においては、固定荷重と積載荷重との和に、さらに積雪荷重を加えなければならない。
■居室
(1) 住宅の居室の採光
① 採光に有効な部分の面積
住宅の居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、7分の1以上としなければならない。
採光に関する規定の適用にあたって、ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなされる。
② 採光に有効な部分の面積(有効採光面積)の算定
居室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積(有効採光面積)は、その居室の開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定される。
有効採光面積=開口面積×採光補正係数 |
採光補正係数は、採光関係比率を用いて求められる。
採光関係比率は、開口部の直上にある建築物の各部分(開口直上部分)から隣地境界線等までの水平距離を、開口直上部分から開口部の中心までの垂直距離で割って求められる数値のうち最も小さい数値である。
採光関係比率の数値が大きいほど、採光補正係数の数値も大きくなる。つまり、有効採光面積の値も大きくなる。
(2) 居室の天井の高さ
居室の天井の高さは、2.1m以上でなければならない。
この天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さとする。
(3) 地階における住宅の居室の防湿の措置等
① 地階における住宅の居室
住宅の居室で地階に設けるものは、壁および床の防湿の措置その他の事項について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。
② 地階における住宅の居室の技術的基準
居室は、次のイからハまでのいずれかに該当していなければならない。
イ 国土交通大臣が定めるところにより、からぼりその他の空地に面する開口部が設けられていること。
ロ 所定の技術的基準に適合する換気設備が設けられていること。 ハ 居室内の湿度を調節する設備が設けられていること。 |
直接土に接する外壁、床および屋根またはこれらの部分(外壁等)の構造は、次のイまたはロのいずれかに適合していなければならない。
イ 外壁等の構造が、次の(1)または(2)のいずれか(屋根または屋根の部分は(1))に適合するものであること。
(1) 外壁等は、国土交通大臣が定めるところにより、直接土に接する部分に、水の浸透を防止するための防水層を設けること。 (2) 外壁または床は、直接土に接する部分を耐水材料で造り、かつ、直接土に接する部分と居室に面する部分の間に居室内への水の浸透を防止するための空隙を設けること。 ロ 外壁等の構造が、外壁等の直接土に接する部分から居室内に水が浸透しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。 |
■共同住宅の各戸の界壁
(1) 共同住宅の各戸の界壁
共同住宅の各戸の界壁は、次の①および②の基準に適合するものとしなければならない。
① その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたものであること。
② 小屋裏または天井裏に達するものであること。
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(2) 界壁の遮音性能に関する技術的基準
次の表の振動数の音に対する透過損失は、それぞれ次の表の数値以上でなければならない。
振動数 | 透過損失 |
125ヘルツ | 25デシベル |
500ヘルツ | 40デシベル |
2,000ヘルツ | 50デシベル |
透過損失とは、遮音性能を表す数値であり、壁などへの入射音と透過音との差で表される。この数値が大きいほど、遮音性能に優れていることになる。
Point 振動数が高い音ほど、大きい数値の透過損失が求められる。