- 適正化法ー7.宅地建物取引業法
- 2.媒介契約に関する規制
- 媒介契約の種類
- Sec.1
1媒介契約の種類
■媒介契約の種類
媒介契約は、依頼者が宅建業者に宅地・建物の売買・交換・貸借の媒介を依頼するときに締結する契約である。媒介契約は、一般媒介契約と専任媒介契約に分けることができる。
(1) 一般媒介契約
一般媒介契約は、依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介または代理を依頼することを許す契約である。一般媒介契約は、さらに、「明示型」と「非明示型」に区分される。
① 明示型
明示型の一般媒介契約は、一般媒介契約のうち、依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介または代理を依頼した場合に、その他の宅建業者を明示する義務があるものである。
② 非明示型
非明示型の一般媒介契約は、一般媒介契約のうち、依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介または代理を依頼した場合に、その他の宅建業者を明示する義務がないものである。
(2) 専任媒介契約
専任媒介契約は、依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介または代理を依頼することが禁止されている契約である。専任媒介契約は、さらに、「専属型」(専属専任媒介契約)と、「非専属型」に区分される。
① 専属専任媒介契約(専属型)
専属専任媒介契約は、依頼者が自分の依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と契約を締結すること(自己発見取引)ができない旨の特約を含む専任媒介契約である。
② 非専属型
非専属型の専任媒介契約は、自己発見取引が禁止されていない専任媒介契約である。
■媒介契約に関する規制の適用範囲
媒介契約に関する規制が適用されるのは、売買・交換の媒介に限られる。つまり、貸借の媒介には適用されない。
媒介契約の規制は、代理契約にも準用される。つまり、媒介契約の規制と代理契約の規制は同じである。以下では媒介契約の規制についてのみ説明するが、「媒介」の部分を「代理」に読み替えると、代理契約の規制となる。
■専任媒介契約の規制
専任媒介契約は、一般媒介契約に比べて、依頼した宅建業者への依頼者の依存度が高くなる。そこで、依頼者を保護するために、宅地または建物の売買または交換の専任媒介契約を締結した宅建業者に、より厳しい規制をかけている。
(1) 有効期間の制限
専任媒介契約の有効期間は、3か月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、自動的に3か月に短縮される。
この制限に反する特約を定めても無効となる。
(2) 有効期間の更新の制限
有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。そして、更新後の有効期間も、更新の時から3か月を超えることができない。
この制限に反する特約を定めても無効となる。したがって、依頼者の申出によらずに自動更新する旨の特約は、無効である。
(3) 業務の処理状況の報告義務
専任媒介契約を締結した宅建業者は、依頼者に対し、その専任媒介契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任媒介契約にあっては、1週間に1回以上)報告しなければならない。
この規制に反する特約を定めても無効となる。
(4) 指定流通機構への登録義務
① 指定流通機構への登録義務
宅建業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、専任媒介契約の締結の日から7日以内(専属専任媒介契約にあっては、5日以内)に、所定の事項を、指定流通機構に登録しなければならない(いずれの日数も宅建業者の休業日を除く)。この指定流通機構とは、コンピュータを使った情報ネットワークのことである。専任媒介契約を締結した宅建業者には、この情報ネットワークを使って、広く契約の相手方を探索することが義務付けられるのである。
登録をした宅建業者は、登録後に指定流通機構が発行した登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。なお、この書面の引渡しに代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面において証されるべき事項を電磁的方法であって国土交通省令で定めるものにより提供することができる。
これらの規制に反する特約を定めても無効となる。
② 指定流通機構への登録事項
指定流通機構への登録事項は、次のとおり。
① 所在、規模、形質
② 売買すべき価額 ③ 法令に基づく制限で主要なもの ④ 交換契約の場合は、評価額 ⑤ 専属専任媒介契約である場合は、その旨 |
③ 契約成立時の指定流通機構への通知
宅建業者は、登録に係る宅地・建物の売買・交換の契約が成立したときは、遅滞なく、次の事項をその登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。
① 登録番号
② 宅地または建物の取引価格 ③ 売買または交換の契約の成立した年月日 |