• 適正化法ー6.不動産登記法
  • 4.区分建物の登記
  • 区分建物の登記
  • Sec.1

1区分建物の登記

堀川 寿和2021/12/14 13:49

区分建物の登記

(1) 区分建物

 区分建物は、一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所または倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、区分所有法に規定する専有部分をいう。

 区分建物は、法律上1つの建物とされ、区分建物ごとに登記記録が作成される(規約共用部分も含む)。例えば、マンションの101号室につき1つの登記記録が、201号室につき1つの登記記録が作られることになる。


(2) 区分建物の登記記録の構成

 区分建物は、通常の建物と異なり、外から見ると1つの建物の中に、区分建物(各専有部分)が存在するため、区分建物の登記記録の表題部には、①1棟の建物全体の表題部と②区分建物(各専有部分)の表題部が設けられる。


区分建物の表示に関する登記

(1) 区分建物についての建物の表題登記

① 区分建物についての建物の表題登記の申請義務者

 区分建物である建物を新築した場合は、その所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。

 区分建物については、表題登記がない建物の所有権を取得した者が表題登記を申請することができない。したがって、区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。


Point 区分建物を新築した者が死亡したときは、相続により当該区分建物の所有権を取得した者は、被相続人を表題部所有者とする表題登記を申請することになる。


② 区分建物についての建物の表題登記の申請方法

 区分建物が属する1棟の建物が新築された場合におけるその区分建物についての表題登記の申請は、その新築された1棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。つまり、分譲マンションが新築された場合は、最初に所有者になった者(分譲業者など)が、すべての専有部分の表題登記をまとめて申請しなければならないということである(一括申請)。

 区分建物の所有者が複数いる場合は、表題登記の申請をする区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。

(2) 区分建物の床面積

 区分建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による(内法面積)。それに対して、区分建物が属する1棟の建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による(壁芯面積)。


(3) 規約共用部分の登記

 区分所有法は、規約共用部分については、その旨の登記をしなければ、第三者に対抗することができないと定める。この登記を「共用部分である旨の登記」という。共用部分である旨の登記は、その区分建物(専有部分)の登記記録の表題部に行われる。

 共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者または所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。

 登記官は、共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記または権利に関する登記を抹消しなければならない。


区分建物の所有権保存の登記

 区分建物にあっては、表題部所有者(原始取得者)から所有権を取得した者も、所有権保存の登記を申請することができる。この場合、登記原因証明情報を提供しなければならない。この場合において、その建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。