• 適正化法ー4.滞納管理費等の回収
  • 5.破産法
  • 破産法
  • Sec.1

1破産法

堀川 寿和2021/12/14 11:05

破産法の目的

 破産法は、支払不能または債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害および債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

破産免責とその効果

 破産免責とは、債務者が自分の持っている全財産をお金に換えて、各債権者に債権額に応じて分配、清算したあと、破産手続で債権者へ支払われなかった債務について、債務者による免責許可の申立てにもとづき、裁判所が免責許可決定を出すことによって、支払義務を免除することである。支払義務が免除されるのは、破産手続開始の決定がされた時点で破産者が負っていた借金などの債務である。したがって、破産手続開始決定の後に生じた債務については支払義務を免れない。


Point1 管理費等の滞納者が裁判所に破産手続の開始を申し立てて、破産手続の開始の決定を受けた場合も、滞納者が免責許可の決定を受けるまでは、管理組合は、破産手続に参加して滞納管理費の請求をすることができる


Point2 免責許可の決定が確定すると、原則として、破産手続開始の決定前に支払期日があった管理費等については支払義務を免れることになるので、これを請求することができなくなる


チェック問 滞納管理費等の回収 問題

管理業務主任者試験【チェック問 滞納管理費等の回収 問題】

1. 管理組合が管理費を滞納している区分所有者に書面で督促する場合、内容証明郵便で行わなければ、「催告」に該当せず、時効の完成猶予の効力を生じない。


2. 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。


3. 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。


4. 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。


5. 管理費を滞納している区分所有者が行方不明の場合は、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することはできない。


6. 滞納管理費の総額が60万円以下の場合でも、民事訴訟法の「少額訴訟」の手続によらず、通常の民事訴訟の手続によることができる。


7. 支払督促の申立てに対して、滞納者である区分所有者が督促異議の申立てをすると、通常の訴訟に移行する。


8. 管理費の滞納者が、破産手続開始の決定を受けた場合、その決定の日以後に到来する支払期の管理費の支払義務を免れる。


マンション管理士試験【チェック問 滞納管理費等の回収 問題】

1. 規約に滞納管理費及び修繕積立金の遅延損害金についての定めがない場合でも、管理組合は、滞納者に対して、年3%の遅延損害金を付加して請求することができる。


2. 滞納者が、滞納している管理費及び修繕積立金の支払を「3か月待ってほしい。」と、口頭で管理組合に告げていたのみでは消滅時効は更新しない。