• 適正化法ー1.マンション管理適正化法
  • 8.監督処分・罰則
  • 監督処分・罰則
  • Sec.1

1監督処分・罰則

堀川 寿和2021/12/13 15:57

マンション管理業者に対する監督処分

(1) 監督処分の種類

 監督処分には、軽いほうから、指示処分、業務停止処分および登録取消処分の3つがある。


① 指示処分

 国土交通大臣は、マンション管理業者が次のいずれかに該当するときは、そのマンション管理業者に対し、必要な指示をすることができる。

① 業務に関し、管理組合またはマンションの区分所有者等に損害を与えたとき、または損害を与えるおそれが大であるとき。
② 業務に関し、その公正を害する行為をしたとき、またはその公正を害するおそれが大であるとき。
③ 業務に関し他の法令に違反し、マンション管理業者として不適当であると認められるとき。
④ 管理業務主任者が監督処分を受けた場合において、マンション管理業者の責めに帰すべき理由があるとき。
⑤ マンション管理適正化法の規定に違反したとき


② 業務停止処分

 国土交通大臣は、マンション管理業者が次のいずれかに該当するときは、そのマンション管理業者に対し、1年以内の期間を定めて、その業務の全部または一部の停止を命ずることができる。

① 指示処分事由の③または④に該当するとき
② マンション管理適正化法の一部の規定に違反したとき
③ 指示処分に従わないとき
④ マンション管理適正化法の規定に基づく国土交通大臣の処分に違反したとき
⑤ マンション管理業に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき
⑥ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が業務の停止をしようとするとき以前2年以内にマンション管理業に関し不正または著しく不当な行為をしたとき
⑦ 法人である場合において、役員のうちに業務の停止をしようとするとき以前2年以内にマンション管理業に関し不正または著しく不当な行為をした者があるに至ったとき


Point1 業務停止処分事由②は、マンション管理適正化法の次の規定に違反した場合である。

①登録事項の変更の届出義務  ②名義貸しの禁止  ③管理業務主任者の設置義務
④標識の掲示義務  ⑤重要事項の説明義務  ⑥契約成立時の書面の交付義務
⑦基幹事務の一括再委託の禁止  ⑧帳簿の作成義務  ⑨財産の分別管理義務
⑩事務管理の報告義務  ⑪業務・財産状況を記載した書類を閲覧させる義務
⑫秘密保持義務  ⑬従業者証明書を携帯させる義務


③ 登録取消処分

 国土交通大臣は、マンション管理業者が次のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。

① マンション管理業者の登録拒否事由に該当するに至ったとき
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき
③ 業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
④ 業務停止処分に違反したとき。


Point2 登録取消処分事由に該当する場合は、必ず登録を取消さなければならない。つまり、指示処分や業務停止処分で済ますことはできない。


(2) 監督処分の公告

 国土交通大臣は、業務停止処分または登録取消処分をしたときは、官報でその旨を公告しなければならない。


(3) その他の監督

① 報告

 国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、マンション管理業を営む者に対し、報告をさせることができる。

② 立入検査

 国土交通大臣は、マンション管理業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、マンション管理業を営む者の事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、または関係者に質問させることができる。


管理業務主任者に対する監督処分

(1) 監督処分の種類

 監督処分には、軽いほうから、指示処分、事務禁止処分および登録取消処分の3つがある。


① 指示処分

 国土交通大臣は、管理業務主任者が次のいずれかに該当するときは、当該管理業務主任者に対し、必要な指示をすることができる。

① マンション管理業者に自己が専任の管理業務主任者として従事している事務所以外の事務所の専任の管理業務主任者である旨の表示をすることを許し、当該マンション管理業者がその旨の表示をしたとき
② 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して管理業務主任者である旨の表示をしたとき
③ 管理業務主任者として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたとき


② 事務禁止処分

 国土交通大臣は、管理業務主任者が次のいずれかに該当するときは、当該管理業務主任者に対し、1年以内の期間を定めて、管理業務主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。

① 指示処分事由に該当するとき
② 指示処分に従わないとき


③ 登録取消処分

 登録取消処分は、管理業務主任者に対するものと、管理業務主任者資格者(登録は受けているが管理業務主任者証の交付は受けていない者)に対するものがある。


イ) 管理業務主任者に対するもの

 国土交通大臣は、管理業務主任者が次のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。

① 管理業務主任者の登録拒否事由に該当するに至ったとき
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
③ 偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき。
④ 事務禁止処分事由に該当し情状が特に重いとき
⑤ 事務禁止処分に違反したとき


ロ) 管理業務主任者資格者に対するもの

 国土交通大臣は、管理業務主任者資格者が次のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。

① 管理業務主任者の登録拒否事由に該当するに至ったとき。
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
③ 管理業務主任者としてすべき事務を行った場合であって、情状が特に重いとき。


(2) 管理業務主任者証の返納

 登録取消処分によって管理業務主任者の登録を取り消された者は、その旨の通知を受けた日から起算して10日以内に、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければならない。


マンション管理士に対する監督処分

(1) 監督処分の種類

 マンション管理士に対する監督処分としては、登録取消処分と名称使用停止処分がある。


① 登録取消処分

 登録取消処分は、必ず登録を取り消さなければならないものと、登録を取り消すことができるものにわけることができる。


イ) 必ず登録を取り消さなければならない場合

 国土交通大臣は、マンション管理士が次のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。

① マンション管理士の登録拒否事由に該当するに至ったとき
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき


ロ) 登録を取り消すことができる場合

 国土交通大臣は、マンション管理士が、次の義務(マンション管理士の3大義務)に違反したときは、その登録を取り消すことができる。

① 信用失墜行為の禁止
② 講習の受講義務
③ 秘密保持義務


② 名称使用禁止処分

 国土交通大臣は、マンション管理士が、「マンション管理士の3大義務」に違反したときは、登録を取り消さずに、期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができる。


(2) マンション管理士登録証の返納

 登録取消処分によりマンション管理士の登録を取り消された者は、その旨の通知を受けた日から起算して10日以内に、マンション管理士登録証を国土交通大臣に返納しなければならない。