- 適正化法ー1.マンション管理適正化法
- 4.マンション管理業者
- マンション管理業者
- Sec.1
1マンション管理業者
「マンション管理業者」とは、マンション管理業者の登録を受けて、マンション管理業を営む者をいう。
■マンション管理業者の登録
(1) 登録
マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならない。
Point 「マンション管理業者の登録」は、個人でも法人でも行うことができる。
(2) 登録の申請
登録を受けようとする者(登録申請者)は、国土交通大臣に次の事項を記載した登録申請書を提出しなければならない。
① 商号、名称または氏名および住所
② 事務所の名称および所在地ならびに当該事務所が成年者である専任の管理業務主任者を設置すべき事務所であるかどうかの別 ③ 法人である場合においては、その役員の氏名 ④ 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名および住所(法定代理人が法人である場合においては、その商号または名称および住所ならびにその役員の氏名) ⑤ 事務所ごとに置かれる成年者である専任の管理業務主任者の氏名 |
Point1 登録申請書に記載すべき事務所とは、次の①および②に該当するものである。
① 本店または支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所または従たる事務所)
② 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、マンション管理業に係る契約の締結または履行に関する権限を有する使用人を置くもの |
①は、商業登記簿に本店、支店として登記されたものである。②は、商業登記簿には登記されていないが、実体上支店に類似するもので、支店における支店長または支配人に相当する者が設置されている場合も、事務所として扱うということである。
Point2 人の居住の用に供する独立部分の数が5以下であるマンションの管理組合のみから管理事務の委託を受けている事務所については、成年者である専任の管理業務主任者を設置する義務はない。なお、専任の管理業務主任者を設置する義務のない事務所しか存在しない場合であっても、マンション管理業者の登録は必要である。
Point3 登録申請者が法人である場合、役員の氏名は記載事項になっているが、住所は記載事項ではない。
Point4 成年者である専任の管理業務主任者の氏名は記載事項であるが、住所は記載事項ではない。
(3) 登録の拒否
国土交通大臣は、登録申請者が次の「登録拒否事由」のいずれかに該当するとき、または登録申請書もしくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
① 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
Point 破産手続開始の決定を受けた者であっても、免責により復権を得れば、他の登録拒否事由に該当しない限り、直ちに登録を受けることができる。
② マンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
Point マンション管理業者は、その登録を取り消された場合は、取消事由を問わず、その日から2年間は、再登録を受けることができない。例えば、マンション管理業者Aが破産手続開始の決定を受けたことを理由に管理業者の登録を取り消された場合、Aが免責により復権を得たとしても、取消しの日から2年を経過しなければ、再登録を受けることができない。
③ マンション管理業者で法人であるものが、マンション管理業者の登録を取り消された場合において、その取消しの日前30日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から2年を経過しないもの
④ マンション管理業者の業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
Point 業務停止命令による業務停止期間中は、再び管理業者の登録を受けることはできない。
たとえば、業務停止命令を受けたマンション管理業者が、業務停止の期間中に廃業等の届出をして登録が消除された場合は、業務停止の期間が経過しなければ再登録を受けることができない。
⑤ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
Point1 刑罰(主刑)には、重い順に死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、過料がある。禁錮以上の刑とは、死刑、懲役、禁錮を意味する。
Point2 執行猶予が付いた場合、執行猶予期間中は登録を受けることができないが、執行猶予期間が満了すれば、刑の言い渡しがなかったことになるので、直ちに登録を受けることができる(次の⑥についても同様)。
⑥ マンション管理適正化法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
Point たとえば道路交通法など、マンション管理適正化法以外の法律に違反して罰金刑に処せられたとしても、登録を受けることができる。
⑦ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⑪において「暴力団員等」という。)
⑧ 心身の故障によりマンション管理業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
Point 国土交通省令で定める者とは、「精神の機能の障害によりマンション管理業を適正に営むに当たって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない者」である。
⑨ マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が登録拒否事由①~⑧のいずれかに該当するもの
Point1 マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者とは、法定代理人からマンション管理業の営業を許されていない未成年者のことである。このような未成年者は、マンション管理業に関し、法定代理人の同意がなければ、契約などの法律行為をすることができない。法定代理人からマンション管理業の営業を許されている場合は、未成年者であっても、マンション管理業に関しては成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意がなくても、契約などの法律行為をすることができる。
Point2 マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、未成年者本人が登録拒否事由に該当しなくても、その法定代理人が登録拒否事由に該当する場合は、登録を受けることができない。
Point3 マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は、本人が登録拒否事由に該当しなければ、登録を受けることができる。
⑩ 法人でその役員のうちに登録拒否事由①~⑧のいずれかに該当する者があるもの
Point 登録を申請する法人自身が登録拒否事由に該当しなくても、その法人の役員に、登録拒否事由に該当する者が1人でもいれば、その法人は登録を受けることができない。
⑪ 暴力団員等がその事業活動を支配する者
⑫ 事務所について成年者である専任の管理業務主任者の設置要件を欠く者
Point 人の居住の用に供する独立部分の数が6以上のマンションの管理組合から管理事務の委託を受けている事務所については、一定の数の成年者である専任の管理業務主任者を設置する義務があり、この要件を満たしている必要がある。それ以外の管理業務主任者を設置する必要のない事務所については、管理業務主任者を設置していなくても、登録を受けることができる。
⑬ マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
Point 国土交通省令で定める基準とは、「『基準資産額』が、300万円以上であること」をいう。なお、「基準資産額」とは、直前1年の各事業年度の貸借対照表または資産に関する調書(基準資産表)に計上された資産の総額から当該基準資産表に計上された負債の総額に相当する金額を控除した額をいう。
(4) 登録の実施
国土交通大臣は、登録申請書の提出があったときは、登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、次の登録事項をマンション管理業者登録簿に登録しなければならない。
① 商号、名称または氏名および住所
② 事務所の名称および所在地ならびに当該事務所が成年者である専任の管理業務主任者を設置すべき事務所であるかどうかの別 ③ 法人である場合においては、その役員の氏名 ④ 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名および住所(法定代理人が法人である場合においては、その商号または名称および住所ならびにその役員の氏名) ⑤ 事務所ごとに置かれる成年者である専任の管理業務主任者の氏名 ⑥ 登録年月日および登録番号 |
Point 登録事項は、「⑥ 登録年月日および登録番号」を除き、登録申請書の記載事項とまったく同じである。
(5) 変更の届出
マンション管理業者は、上記(4)の登録事項のうち①~⑤の事項(登録年月日および登録番号以外の事項)に変更があったときは、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
この届出を、変更の届出という。
Point1 事務所を新設・移転・廃止した場合も、変更の届出が必要である。
Point2 ③の「役員の氏名」や⑤の「専任の管理業務主任者の氏名」に変更があったときとは、役員や専任の管理業務主任者に変更があった場合や、婚姻により氏名に変更があった場合である。
(6) 登録の有効期間
マンション管理業者の登録の有効期間は、5年である。
(7) 更新の登録
有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。更新の登録を受けようとする者は、登録の有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に登録申請書を提出しなければならない。
なお、更新後の登録の有効期間も5年である。
更新の登録の申請があった場合に、有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、その有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。この場合に、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算する。
(8) マンション管理業者登録簿等の閲覧
国土交通大臣は、マンション管理業者登録簿その他国土交通省令で定める書類を一般の閲覧に供しなければならず、そのために、マンション管理業者登
■廃業等の届出
マンション管理業者が次のいずれかに該当することとなった場合、届出義務者は、その日(死亡の場合は、その事実を知った日)から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
届出事由 | 届出義務者 | 届出期限 | |
① 死亡 | 相続人 | その事実を知った日から30日以内 | |
② 法人の合併消滅 | 消滅した法人を代表する役員であった者 | その日から30日以内 | |
③ 破産手続開始の決定 | 破産管財人 | ||
④ 法人の解散 | 清算人 | ||
⑤ マンション管理業の廃止
(廃業) | 個人 | 個人本人 | |
法人 | 法人を代表する役員 |
Point1 上記①~⑤の場合、「届出を行ったとき」に登録の効力を失うのではなく、「該当するに至ったとき」に登録の効力を失う。
Point2 国土交通大臣は、マンション管理業者の登録がその効力を失ったときは、その登録を消除しなければならない。