- 民法ー6.抵当権(担保物権)
- 1.抵当権(担保物権)
- 抵当権(担保物権)
- Sec.1
1抵当権(担保物権)
■抵当権(担保物権)
抵当権とは、いわゆる借金のカタの一つで、例えば、金融機関で住宅ローンを組む場合に、必ずと言っていいほど要求されるものである。 |
抵当権は、担保物権の1つであり、債務者または第三者(物上保証人)が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、債務が履行されない場合に競売に付し、その競売代金から他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利である。
抵当権は、当事者間の合意(抵当権設定契約)によって成立する。自己の所有する不動産に抵当権を設定した者を抵当権設定者といい、抵当権の設定を受けた債権者を抵当権者という。また抵当権により担保される債権を被担保債権という。
事例 A銀行のBに対する貸金債権を担保するため、債務者であるBは自己の所有地にA銀行の抵当権を設定した。
Point1 抵当権者となるのは、債権者である。債務者は抵当権設定者となることができるが、債務者以外の第三者も抵当権設定者になることができる。このような第三者を物上保証人という。
Point2 抵当権も、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。なお、抵当権を登記しておけば、その後、抵当権の目的である不動産が賃貸された場合であっても、抵当権者は賃借人に対して抵当権を対抗することができる。
Point3 不動産だけでなく、地上権および永小作権も、抵当権の目的とすることができる。
Point4 抵当権設定者は、抵当権の目的を売却することができるが、その際に、抵当権者の承諾を得る必要はない。
Point5 抵当権の効力は、抵当権の目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、抵当権の目的となっている土地の上に建物が建っている場合でも、その建物には抵当権の効力が及ばない。
Point6 被担保債権が移転すれば、それに伴って、抵当権も移転する。このような抵当権の性質を随伴性という。
Point7 抵当権の目的である不動産が賃貸された場合、抵当権設定者の賃借人に対する賃料債権に対しても、抵当権を行使することができる。このような抵当権の性質を、物上代位性という。ただし、抵当権者は、賃借人によるその賃料の支払い前に差押えをしなければならない。
Point8 土地およびその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地または建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなされる。このようにして成立する地上権を、法定地上権という。