- 民法ー5.債権各論
- 1.贈与契約
- 贈与契約
- Sec.1
1贈与契約
債権各論では、債権の発生原因別に、それぞれに特有のルールを扱う。
■贈与契約の成立
贈与とは、他人に無償で財産をあげることである。財産をあげる人を「贈与者」、財産をもらう人を「受贈者」という。
贈与契約は、当事者の一方(贈与者)がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方(受贈者)が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
贈与契約は、当事者の合意(口約束)のみで成立し、契約の成立に、書面(契約書)の作成は不要である。しかし、契約を書面によって行ったか否かにより、履行前に解除できるか否かに違いがある。
Point1 贈与も契約であるので、契約が成立するには、受贈者の承諾の意思表示が必要である。
Point2 贈与契約は、片務・無償・諾成契約である。
■書面によらない贈与契約の解除
書面によらない贈与契約(口約束など)は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、解除をすることができない。
事例 AはA所有の甲土地を口頭でBに贈与した。この場合、Aが甲土地をBに引き渡すまでであれば、A・Bいずれのほうからも、贈与契約を解除することができる。しかし、Aが甲土地をBに引き渡した後は(移転登記がまだであっても)、A・Bいずれのほうからも契約を解除することはできない。
Point1 不動産の贈与契約は、所有権移転登記または引渡しのいずれかが行われたときに、履行が終わったとされる。
Point2 書面による贈与は、解除することができない(履行が終わっていなくても)。