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1経済史

堀川 寿和2021/12/08 09:25

日本経済の発展

(1) 戦後の日本の経済復興

① GHQ(連合国軍総司令部)の下における経済民主化政策

(a) 財閥の解体

 三井、三菱、住友、安田の4大財閥をはじめ数多くの持株会社が、持株会社整理委員会の活動等により、解体された。

(b) 農地改革

 自作農創設特別措置法の制定や農地調整法改正により、農地改革がすすみ、大量の自作農が創出された。

(c) 労働改革

 日本国憲法による労働基本権の保障を受け、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法がそれぞれ制定された。

② 経済復興政策

(a) 傾斜生産方式

 生産を復興するため、石炭・鉄鋼に資源を集中する傾斜生産方式を採用した。また、生産復興には、アメリカの経済援助(ガリオア資金・エロア資金)も役立った。

(b) 経済安定化政策

 GHQは、経済を安定させインフレを抑制するため、経済安定9原則を指令し、これを具体化するため、超均衡財政の確立、単一為替レートの設定等が実施された。

(c) 特 需

 1950年に起きた朝鮮戦争により発生した特需により、1951年の鉱工業生産は一気に第2次世界大戦前の水準まで回復した。


(2) 高度経済成長

 昭和30年代から、重化学工業を中心に、日本の経済は急速に成長した。この高度経済成長の要因としては、①戦後改革(財閥解体、農地改革、労働改革、婦人解放等)による近代的な社会体制の整備、②豊富な労働力、③活発な設備投資(国民の貯蓄による資金がそれを支えた)、④政府による産業育成、⑤朝鮮戦争やヴェトナム戦争による特需等が挙げられる。

高度経済成長は、日本を豊かにした反面、公害問題や都市の過密・農村の過疎を引き起こした。


(3) オイル・ショック以後

 1973年のオイル・ショック(産油国による原油価格の大幅な引上げ)によって、物価が急騰し、経済が混乱した。それ以後は、以前のような高い経済成長率を維持することができなくなった。

 このような局面において、わが国では、省エネルギー技術の開発や企業経営の合理化によって不況を克服する反面、製品の大量輸出によって相手国から反発を受けるようになった。


(4) プラザ合意以降

 1985年に、日本、アメリカ、イギリス、フランス及び西ドイツの財務相及び中央銀行総裁により構成される先進5か国財務相・中央銀行総裁会議において、ドル高是正が合意された(プラザ合意)。その結果、円高が進み、海外における日本製品の価格上昇が販売低下を招き、不況となった。

 しかし、政府の低金利政策や電子・情報・通信分野での技術革新等により、1986年末から日本経済は上昇しはじめ、1991年まで拡大を続けた。この時期、余剰資金が不動産や株に投資されたことで、土地や株式等の資産価格が経済の実体以上に上昇した(いわゆるバブル)。


【プラザ合意以降の日本経済のまとめ】

1985年 プラザ合意…ドル高是正
円高の進行による、輸出産業等の低迷→不況
政府による低金利政策
1986年末~ 平成景気
金融引締め
地価や株価は急激に下落(バブルの崩壊)




日本経済の特徴

(1) 企業グループ

 日本では、金融、商社、製造、流通等の異なる業種の大企業同士が、株式の相互保有や役員の兼任等によって横のつながりを持ち、企業グループを形成している。グループ内の企業は、資金や情報の提供、製品販売ルートの確保等のメリットがある。ただし、グループ外部企業との取引での閉鎖性も指摘されている。


(2) 大企業と中小企業

 中小企業では、例えば大企業の製品の部品を作る等、大企業の下請けとして事業活動を行っているものが多い。このシステムは、効率的な生産を可能にし、親企業・下請企業の双方にメリットをもたらす(親企業は資金を節約することができるし、下請企業は資金や技術の面で親企業の援助を受けられる)反面、下請企業の側からみると、親企業の業績悪化の影響を受けやすいとか、親企業からの納期やコストダウンに関する要求が厳しいといった問題点がある。


日本経済の諸問題

(1) 資源・エネルギー問題

 日本は、石油をはじめほとんどの資源・エネルギーを海外に依存している。したがって、産油国等の動向によって日本経済は大きな影響を受けてしまう。また、石油等の資源には限りがあり、その大量消費は環境の悪化をもたらしている。このような資源・エネルギー問題への対策として、資源の利用を節約する省エネルギー技術の開発、石油に代わる代替エネルギーの開発(原子力発電、自然エネルギーの利用等)、資源の再利用を図るリサイクリング・システムの確立等が試みられている。


(2) 都市問題

 高度経済成長期から都市部に人口が集中するようになり、それに伴ってさまざまな問題が生じている。都市部では、産業基盤の整備が優先されたため、上下水道、病院、学校、公園等の生活関連社会資本の整備が遅れ、無秩序に宅地造成が行われたため、都市が虫食い状に郊外に広がっていくというスプロール現象を生ずる等、市民生活に多大の不便が生じている。他方、地方では、若年労働者の流出等により、地方経済の発達が阻害される要因となっている。

 また、中枢機能の東京への一極集中は、東京が災害にあった場合に中枢機能のマヒをもたらす危険があることから、首都機能の移転等の対策をとることが求められている。