• 行政法ー2.行政組織法
  • 6.公務員法
  • 公務員法
  • Sec.1

1公務員法

堀川 寿和2021/12/06 09:53

公務員

公務員には、国家公務員と地方公務員がある。


(1) 国家公務員

 国家公務員とは国家に勤務する者をいい、国家公務員法がこれを規律している。


(2) 地方公務員

 地方公務員とは、地方公共団体に勤務する者をいい、地方公務員法がこれを規律している。


公務員の種類

 国家公務員法、地方公務員法のいずれも、公務員の職を一般職と特別職に分けている(国公法2条1項、地公法3条1項)。


Point 国家公務員法、地方公務員法は一般職の職員に適用され、法律に別段の定めがない限り、特別職の職員には適用されない(国公法2条4項・5項、地公法4条1項・2項)。


(1) 一般職

 一般職とは、特別職に属する職以外の一切の職をいう(国公法2条2項、地公法3条2項)。


(2) 特別職

① 特別職の国家公務員

 特別職の国家公務員とされるのは、次の職である(国公法2条3項)。

(a) 内閣総理大臣
(b) 国務大臣
(c) 人事官および検査官
(d) 内閣法制局長官
(e) 内閣官房副長官
(f) 内閣危機管理監および内閣情報通信政策監
(g) 国家安全保障局長
(h) 内閣官房副長官補、内閣広報官および内閣情報官
(i) 内閣総理大臣補佐官
(j) 副大臣
(k) 大臣政務官
(l) 大臣補佐官
(m) 内閣総理大臣秘書官および国務大臣秘書官ならびに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの
(n) 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院または一院の議決または同意によることを必要とする職員
(o) 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長および侍従次長ならびに法律または人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員
(p) 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表または全権委員の代理ならびに特派大使、政府代表または全権委員の顧問および随員
(q) 日本ユネスコ国内委員会の委員
(r) 日本学士院会員
(s) 日本学術会議会員
(t) 裁判官およびその他の裁判所職員
(u) 国会職員
(v) 国会議員の秘書
(w) 防衛省の職員(一定の者を除く。)
(x) 独立行政法人通則法に規定する「行政執行法人」の役員


Point 特別職の国家公務員は、内閣総理大臣、国務大臣、大臣政務官などの政治的任用原則によるものに限らず、裁判所職員、国会職員などの国家行政組織法上の行政機関の職でないものも特別職の国家公務員とされる。


② 特別職の地方公務員

 特別職の地方公務員とされるのは、次の職である(地公法3条3項)。

(a) 就任について公選または地方公共団体の議会の選挙、議決もしくは同意によることを必要とする職
(b) 地方公営企業の管理者および企業団の企業長の職
(c) 法令または条例、地方公共団体の規則もしくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員および委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時または非常勤のもの
(d) 都道府県労働委員会の委員の職で常勤のもの
(e) 臨時または非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員およびこれらの者に準ずる者の職(専門的な知識経験または識見を有する者が就く職であって、当該知識経験または識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る。)
(f) 投票管理者、開票管理者、選挙長、選挙分会長、審査分会長、国民投票分会長、投票立会人、開票立会人、選挙立会人、審査分会立会人、国民投票分会立会人その他総務省令で定める者の職
(g) 地方公共団体の長、議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの
(h) 非常勤の消防団員および水防団員の職
(i) 特定地方独立行政法人の役員



公務員の勤務関係

(1) 勤務関係の成立

 公務員の勤務関係は、採用によって成立する。


(2) 勤務関係の変動

 公務員の勤務関係の変動としては、昇任、転任、配置換え、降任がある。


(3) 勤務関係の消滅

 公務員の勤務関係は、離職によって、すなわち失職、免職、辞職などによって消滅する。


Point 国家公務員法にも、地方公務員法にも、日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定は存在しない