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11.民法の概要

堀川 寿和2021/05/20 17:57

 民法とは、「個人同士の財産を巡る法律関係と、身分関係を巡る法律関係について定められたルール」ということができる。前者を「財産法」と呼び、後者を「家族法(身分法)」と呼んで分類している。宅建試験では主に財産法を中心に出題され、家族法からは相続のみが出題される。


 財産法は財産権について定めており、「物権」「債権」の二つの種類がある。「物権」「債権」は契約の成立に深くかかわるので、ここでは「契約」についてまず学習する。

契約の成立

契約は、「申込み」と「承諾」の意思表示が合致することで成立する。

契約が成立すれば、その他の問題がない限り、有効な契約となる。

 

 

事例  A所有の不動産につき、Bが買い受けの申込をし、Aがこれを承諾することにより、AB間に売買契約が成立する。

 

 

 

 契約は、原則として、当事者の間での口約束だけでも成立する。契約書を作らなくても、口頭によって合意さえすれば、契約は成立するのである。

 いったん契約が成立すると、当事者は契約に拘束される。

 

 

Point 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(「申込み」)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。契約の成立には、原則として、契約書の作成は不要である。

 

Point 契約が成立すると、その効果として「債権」が発生したり、「物権」が移転したりする。

 

物権と債権の意味

 

物権とは
 物に対する権利である。 
特定の物を直接に支配することができる排他的な権利をいう。
 物権は誰に対しても主張できる権利である。
 
 
債権とは
 人に対する権利である。
 特定の人に対して一定の行為を請求することができる権利をいう。
 債権は特定の人に対してのみ主張できる権利である。
 

契約の有効性

契約が成立すると、次に問題になるのが契約の有効性である。

成立した契約に特に問題がなければ、契約は完全に有効となる。

ただし、問題がある契約については、取り消すことができる場合や、無効となる場合がある。


(1) 取り消すことができる契約

① 制限行為能力者が単独で行った契約

② 錯誤による契約

③ 詐欺・強迫による契約

 契約は一応有効なものとして扱われるが、後にこれを取り消すことができる。契約が取り消されると、契約は成立時に遡って、無効になる。


(2) 無効となる契約

① 意思無能力者が行った契約

② 公序良俗(公の秩序または善良の風俗)に反する契約

③ 心裡留保による契約

④ 虚偽表示による契約


■ 契約の有効性


取消し 

・いったん有効に成立した契約をなかったことにすることであり、契約を取り消すと、その契約は最初からなかったことになる。
・取り消すことができる契約は、取り消されるまでは有効である。
無効無効 はじめから何も効力を生じないことであり、何もいわなくても当然になかったことになる。