• 民法ー7.親族
  • 2.婚姻
  • 婚姻
  • Sec.1

1婚姻

堀川 寿和2021/12/03 15:18

 婚姻とは、法律によって承認された男女の性的結合であり、永続的な共同生活関係をいう。

 財産法上の契約と異なり、一定の要式行為であって、取消しを主張する場合も裁判所での手続が求められる。


婚姻の成立要件

(1) 形式的要件―届出

 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じる(739条1項)。

 届出は戸籍吏に受理されれば完了し、戸籍簿に記入されなくても婚姻は成立する(大判昭16.7.29)。


(2) 実質的要件―婚姻意思

 婚姻には、当事者双方が真摯に夫婦として関係を永続させようとする意思が必要である。よって、そのような意思がなく、例えば、子に嫡出子としての地位を与えることのみを目的とする婚姻は無効である(最判昭44.10.31)。

 また、婚姻意思は確定的なものであることを要し、条件・期限を付することはできない。


婚姻障碍

 上記2要件を満たしても、以下の婚姻障碍が存在する場合は有効な婚姻とならず、事後的に婚姻障碍の存在が確認された場合は婚姻の取消事由となる。無効となるわけではない。


① 婚姻適齢に達していないこと(731条)

 婚姻適齢は男女ともに18歳である。

② 重婚となること(732条)

 重婚とは法律上の婚姻が重複することであり、いわゆる『内縁』は含まない。つまり、婚姻中の者が他の者と内縁関係を結んでも重婚とはならない。

③ 女性の待婚期間(前婚の終了から100日)を経過していないこと(733条1項)

 本規定の趣旨は、後述する嫡出の推定(772条)との関連で父親が誰であるかを判断しやすくすることにある。したがって、次の場合は、女性が前婚の終了から100日を経過していなくても、再婚をすることができる。

イ)女性が前婚の解消または取消しの時に懐胎していなかった場合
ロ)女性が前婚の解消または取消しの後に出産した場合

④ 近親婚となること(734条~736条)

 優生学上の問題や倫理上の問題で、近親婚は禁止されている。禁止される範囲は直系血族と3親等以内の傍系血族間、直系姻族間、養親子関係者間の婚姻である。離縁によって姻族関係や親族関係が終了した後でも、婚姻をすることはできない。ただし、養子と養方の傍系血族との間の婚姻は禁止されていない。



成年被後見人の婚姻

成年被後見人が婚姻をするのに、成年後見人の同意は不要である(738条)。