• 民法ー2.民法総則
  • 2.物(権利の客体)
  • 物(権利の客体)
  • Sec.1

1物(権利の客体)

堀川 寿和2021/12/01 15:29

 私権の客体、つまり権利の対象となるものは「物」である。

 民法において「物」とは有体物をいう(85条)。具体的には液体、気体、固体がこれにあたる。反対に、「無体物」とは、権利や電気、熱、光等である。

 「物」は、次のような分類がされる。


不動産・動産

(1) 不動産

 不動産とは、土地および土地の定着物をいう(86条1項)。土地の定着物とは、建物、樹木、石垣など、取引観念上、一時的ではなく継続的に土地にくっついた状態で使用されるものをいう。土地の定着物のうち、建物は常に土地とは別個の独立の不動産とされる。


(2) 動産

 不動産以外の物は、すべて動産とされる(86条2項)。


主物・従物

 物の所有者が、その物(主物)の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物という(87条1項)。たとえば、建物の所有者が、畳を購入してその建物に敷いた場合は、建物が主物で、畳が従物となる。

 従物は、主物の処分に従う(87条2項)。したがって、建物の所有者が建物(主物)を売却すれば、その建物内の畳(従物)も売却されたことになる。


元物・果実

 果実とは物から生じる経済的収益のことである。果実を生じる物を元物という。

 果実は天然果実と法定果実に分けることができる。


(1) 天然果実

 天然果実とは、物の用法に従い収取する産出物をいう(88条1項)。たとえば、果物・牛乳・鉱物などである。

 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する(89条1項)。


(2) 法定果実

 法定果実とは、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物をいう(88条2項)。たとえば、家賃・地代などである。

 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する(89条2項)。