• 憲法―14.地方自治
  • 3.地方住民の権利
  • 地方住民の権利
  • Sec.1

1地方住民の権利

堀川 寿和2021/12/01 13:09

 住民自治の要請から、次のような直接民主制的制度が採用されている。

地方自治特別法

 「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」(95条)。一の地方公共団体とは、一つの地方公共団体という意味ではなく、特定の地方公共団体という意味である。旧軍港市転換法は、旧軍港のあった4つの市に適用されたが、この地方自治特別法に当たる。

住民の地位

(1) 住民の意味とその権利・義務

 「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。住民は、法律の定めるところにより、その属する地方公共団体の役務をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」(地方自治法10条)。


(2) 住民の選挙権

 「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律[地方自治法]の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する」(地方自治法11条)。


(3) 条例の改廃請求権

 「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律[地方自治法]の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例の制定又は改廃を請求する権利を有する」(地方自治法12条1項)。条例の制定または改廃請求の詳細については、地方自治法74条以下に定めがある。


(4) 事務監査請求権

 「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律[地方自治法]の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する」(地方自治法12条2項)。


(5) 議会の解散請求

 「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律[地方自治法]の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する」(地方自治法13条1項)。

議会の解散請求の詳細については、地方自治法76条以下に定めがある。


(6) 長、議員等の解職請求権

 「日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律[地方自治法]の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員、長、副知事若しくは副市町村長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職を請求する権利を有する」(地方自治法13条2項)。解職請求の詳細については、地方自治法80条以下に定めがある。