- 憲法―10.国会
- 4.国会の議事
- 国会の議事
- Sec.1
1国会の議事
■独立活動の原則
両議院は、国会が二院制をとることに基づき、別々に会議を開き、議決を行うという原則である。両議院が同時に召集、開会および閉会されるという、国会の同時活動の原則(54条2項)と混同しないように注意したい。
■本会議と委員会
各議院の議員が全員で構成する会議を本会議という。議案が各議院に発議または提出されると、原則として、委員会に付託され、その審査報告を受けて、本会議にかけられる(国会法56条2項)。
各議院の委員会は、常任委員会と特別委員会に分けられる(国会法40条)。常任委員会(衆議院、参議院ともに17委員会)は、その部門に属する議案、請願などを審査する(国会法41条)。議員は、少なくとも一箇の常任委員となる(国会法42条2項)。また、特別委員会は、各議院がその院において必要と認めた案件または常任委員会の所管に属さない特定の案件を審査する(国会法45条1項)。
■議事及び議決
「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」(56条1項)。本会議の定足数について定めたものである。このほか、委員会の議事および議決の定足数は、委員の半数以上であり(国会法49条)、両院協議会の議事および議決の定足数は、各議院の協議委員のそれぞれ3分の2以上(国会法91条)である。
「両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数で決」せられる(56条2項)。本会議の議事の表決は、出席議員の絶対多数決によることとしたものである。「この憲法に特別の定のある」例外とは、議員の資格争訟の裁判により議員の議席を失わせる場合(55条)、両議院の会議で秘密会を開く場合(57条1項但書)、両議院で議員を除名する場合(58条2項)、衆議院で可決し参議院でこれと異なる議決をした法律案について衆議院で再議決を行う場合(59条2項)、憲法改正の発議(96条1項前段)である。
cf. 国会活性化法
議会主義の形骸化の一要因であるとされて弊害が指摘されてきたこれまでの行政府主導の政策決定システムを見直し、国会審議の活牲化及び政治主導の政策決定システムの確立を目指して、平成11年に成立した法律である。①党首討論制度の導入、②政府委員制度の廃止、③副大臣等の設置などを内容とする。
議案審議の際、内閣提出法案について本会議および各委員会で政府に対する質疑が行われる場合、従来、所管の大臣自身よりも、大臣を補佐する政府委員として政府職員が答弁を行うことが多かったが、この法律により、官房副長官、副大臣、大臣政務官または政府特別補佐人が大臣の補佐として答弁することができるようになる一方、その他の政府職員は政府参考人として、細目的または技術的事項の説明をすることができるに過ぎなくなった。