- 憲法―1.総論
- 5.平和主義
- 平和主義
- Sec.1
1平和主義
■平和主義とは
日本国憲法は、前文において平和主義を明らかにするとともに、9条において、①侵略戦争を含めた一切の戦争と武力の行使及び武力による威嚇を放棄したこと、②それを徹底するために戦力の不保持を宣言したこと、③国の交戦権を否認したこと、の3つを定め、徹底した戦争否定の態度を打ち出している。
■9条の趣旨
9条1項の「国権の発動たる戦争」とは、国際法上の戦争をいい、宣戦布告が行われ、国際法上の戦時法規の完全な適用を受ける形式的意味の戦争を指す。そして、「武力による威嚇」とは、「武力の行使」の前段階の行為を指す。また、「武力の行使」とは戦闘行為一般を指し、実質的な意味の戦争を意味する。以上より、9条1項は、戦争を形式的にも実質的にも放棄していると考えることができる。