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1相続

F32022/04/22 15:16

親族

(1) 親族の範囲

 民法の規定によれば、親族とは、6親等内の血族配偶者および3親等内の姻族をいう。

 

【用語解説】血族・姻族

 「血族」とは、原則として、本人と血縁関係にある者をいう。ただし、血縁関係にない場合も、養子縁組により養子と養親、養子と養親の血族との間は、それぞれ血族と同じ親族関係となる。

 「姻族」とは、婚姻によって発生する親族であり、配偶者の血族と血族の配偶者をいう。

 

(2)

 子には実子と養子がある。

 

① 実子

 実子は、父母と親子の血縁関係にある子をいう。実子には、嫡出子嫡出でない子非嫡出子)がある。

嫡出子

 嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子をいう。

嫡出でない子

(非嫡出子)

 嫡出でない子(非嫡出子)とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいう。

 

② 養子

 養子は、養子縁組により父母と親子の関係となった子をいう。養子縁組が成立すると養子となった者は養親の嫡出子として扱われる。養子には普通養子特別養子がある。

普通養子

 普通養子とは、普通養子縁組〔=特別養子縁組ではない養子縁組〕によって養子となった者をいう。普通養子については、普通養子縁組が成立しても、養子となった者と実方の父母との法律上の親族関係は終了しない

特別養子

 特別養子とは、特別養子縁組によって養子となった者をいう。特別養子については、原則として、養子縁組の成立と同時に、実方の父母との法律上の親族関係が終了する

 

(3) 成年後見制度

 成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などにより判断能力が十分でない者を保護するための制度である。

 成年後見制度には法定後見制度任意後見制度がある。

 

① 法定後見制度

 法定後見制度は、民法に定められる後見制度である。法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」の3つがある。

後見

判断能力を欠く常況にある者を保護するための制度

保佐

判断能力が著しく不十分である者を保護するための制度

補助

判断能力が不十分である者を保護するための制度

 

② 任意後見制度

 任意後見制度は、将来判断能力が低下したときに備えて、事前に本人が任意後見人を選任しておく制度である。

相続ー1

 相続とは、死亡した人〔=被相続人〕の財産を、死亡した人と一定の親族関係にあった人〔=相続人〕が承継することである。承継される財産は、土地や建物などの財産〔=積極財産〕だけでなく、借金などの債務〔=消極財産〕も含まれる。

 相続は、被相続人の死亡によって開始する。

 

(1) 法定相続人

 法定相続人とは、民法が定めている相続人のことである。法定相続人は、被相続人の配偶者と配偶者以外の相続人に区分でき、配偶者配偶者以外の相続人同時に相続人となる

 

① 配偶者

 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

 

② 配偶者以外の相続人

 配偶者以外の相続人は、被相続人の直系尊属兄弟姉妹である。

 配偶者以外の相続人には順位があり、➊子⇒➋直系尊属⇒➌兄弟姉妹の順で相続人となる。先順位の者が相続人となる場合は、後順位の者は相続人となれない。

・被相続人の子〔=実子・養子〕が相続人となる。

被相続人のが、被相続人の相続の開始以前に死亡している場合、被相続人の子の子〔=被相続人の孫〕が代襲相続人となる〔=代襲相続〕。

直系尊属

・➊で相続人となる者がいない場合、被相続人の直系尊属が相続人となる。

・親等の異なる者の間では、被相続人に親等の近い者を優先する。

→ たとえば、父母と祖父母がいる場合は、父母が相続人となる。

兄弟姉妹

・➊➋で相続人となる者がいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる。

・被相続人の兄弟姉妹が、被相続人の相続の開始以前に死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹の子〔=被相続人の甥姪〕が代襲相続人となる〔=代襲相続〕。

 

Point1 相続において、実子養子または嫡出子嫡出でない子の区別によって、相続人の順位に違いはない

Point2 被相続人の子の配偶者は、代襲相続人になれない

 

(2) 法定相続分

 相続人が数人ある場合は、各相続人の相続分〔=相続財産の相続割合〕が問題となる。

 法定相続分とは、民法で定められた相続分のことである。相続人が数人ある場合は、遺言で相続分の指定がない限り、相続財産は法定相続分に応じて共同相続人の共有となる。

 

① 配偶者と配偶者以外の相続人との間の法定相続分

 配偶者配偶者以外の相続人が同時に相続人になる場合は、それぞれの法定相続分は次のとおりである。

 

② 配偶者以外の相続人間の法定相続分

 直系尊属または兄弟姉妹が数人ある場合は、各自の法定相続分は、原則として同じである。

 

Point1 被相続人の実子養子の法定相続分は同じである。

Point2 被相続人の嫡出子嫡出でない子の法定相続分は同じである。

 

相続ー2

③ 代襲相続人の法定相続分

 代襲相続人の法定相続分は、代襲される者〔=被相続人のまたは兄弟姉妹の法定相続分と同じである。代襲相続人が数人ある場合は、これを人数で等分する。

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