• 不動産
  • 7.不動産の有効活用
  • 不動産の有効活用
  • Sec.1

1不動産の有効活用

F32022/04/22 14:14

不動産投資と利回り

 不動産投資の採算性を評価するための尺度として、単純利回りや純利回りによる評価がある。

 

(1) 単純利回り

 単純利回りは、賃貸用不動産の年間収入の合計額〔=年間賃料収入〕を投資総額(不動産価格)で除して算出する。

 単純利回りは、最も簡便な利回りで、あくまでも不動産投資の表面的な収益性を見るだけのものとして扱う。

 

(2) 純利回り(NOI利回り)

 純利回り(NOI利回り)は、賃貸用不動産の年間収入の合計額から年間費用の合計額を控除した純収益NOINet Operating Income)を投資総額(不動産価格)で除して算出する。

 純利回りは、不動産投資の収益性を評価するための最も基本的な尺度である。

 

<純利回り(NOI利回り)の計算>

土地の有効活用方式

 自宅以外の土地を所有している場合に、その土地に賃貸マンション等を建設して賃貸すれば、収益を得ることができる。これを土地の有効活用という。土地の有効活用方式のうち主なものは、次のとおりである。

 

(1) 自己建設方式

 自己建設方式とは、一般に、土地所有者が自らマンション等を建築して賃貸する手法をいう。事業の企画から資金調達、建築工事の発注、建物完成後の管理・賃貸運営までの土地活用事業のすべてを土地所有者が自ら行う。

 自己建設方式で賃貸マンションを建築すると、相続税の課税価格の計算上、その土地は貸家建付地として評価されるため相続税等の軽減が期待できるが、将来の賃料の収入が減少することや、借入金の返済が滞るなどのリスクを考慮し、実行にあたっては慎重な計画が求められる。

 

【用語解説】貸家建付地

「貸家建付地」とは、貸家の敷地の用に供されている宅地をいう。つまり、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、その土地のことである。

 

(2) 事業受託方式

 事業受託方式とは、一般に、デベロッパー〔=不動産開発会社〕が土地所有者から土地活用事業のすべてを受託して行う手法をいう。

 

(3) 建設協力金方式

 建設協力金方式とは、一般に、土地所有者が入居予定の事業会社から建設資金を借り受けて、事業会社の要望に沿った店舗等を建設し、その店舗等を事業会社に賃貸する手法をいう。建設資金は借主である事業会社からの賃料の一部で返済する。

 建設協力金方式は、借主である事業会社のノウハウを利用して計画を実行できる点はメリットである。しかし、建設協力金方式により建設した店舗等の賃貸借契約は、契約の更新があるが、更新されずに契約期間が満了した後は、土地上の店舗等の建物は撤去されることなくそのまま土地所有者に返還されるため、事業会社が撤退するリスクなどを考えておく必要がある。

 

(4) 土地信託方式

 土地信託方式とは、一般に、土地所有者が信託銀行等に土地を信託する手法をいう。土地所有者は、信託期間中は配当を受け取る。

 

(5) 等価交換方式

 等価交換方式とは、一般に、土地所有者が土地の全部または一部を拠出し、デベロッパーが建設資金を負担してマンション等を建設し、それぞれの出資比率に応じて土地・建物に係る権利を取得する方式をいう。

 等価交換方式で賃貸マンションを建築すると、土地所有者としては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができる。

 

(6) 定期借地権方式・事業用定期借地権方式

 定期借地権方式とは、一般に、土地所有者が借地借家法に定められている定期借地権を設定して一定期間土地を賃貸する手法をいう。事業用定期借地権を利用する場合は、事業用定期借地権方式とよばれる。土地所有者は、土地を手放さずに、安定した地代収入を得ることができること、期間満了後は土地が更地となって返還される点などがメリットとして挙げられる。また、定期借地権方式により土地所有者が土地を賃貸した後に当該土地所有者の相続が開始した場合、相続税の課税価格の計算上、当該土地は貸宅地として評価されるので、相続税額の軽減効果がある。

 

【用語解説】貸宅地

「貸宅地」とは、借地権など宅地の上に存する権利の目的となっている宅地をいう。

不動産の有効活用ーチェック問題

【チェック問 不動産の有効活用】

 

1. 土地の有効活用において、一般に、土地所有者が入居予定の事業会社から建設資金を借り受けて、事業会社の要望に沿った店舗等を建設し、その店舗等を事業会社に賃貸する手法を、事業用定期借地権方式という。[2021-9-25

 

2. 不動産投資の採算性を示す指標の1つである(   )は,年間賃料収入を投資額で除して算出する。[2014-1-51

1) 単純利回り

2) ネット利回り

3) 内部収益率

 

3. 投資総額1億円で購入した賃貸用不動産の年間収入の合計額が1,000万円、年間費用の合計額が350万円である場合、この投資の純利回り(NOI利回り)は、(   )である。[2021-1-55

1) 3.5

2) 6.5

3) 10.0

 

4. 土地の有効活用方式のうち、一般に、土地所有者が土地の全部または一部を拠出し、デベロッパーが建設資金を負担してマンション等を建設し、それぞれの出資比率に応じて土地・建物に係る権利を取得する方式を、(   )という。[2022-1-55

1) 定期借地権方式

2) 建設協力金方式

3) 等価交換方式