- 不動産
- 4.不動産に関する法令上の規制
- 不動産に関する法令上の規制
- Sec.1
■都市計画法
都市計画法は、計画的な街づくりを行うための都市計画の内容や手続を定めている法律である。
(1) 都市計画区域
計画的な街づくりを行う必要がある区域は「都市計画区域」に指定される。
都市計画区域については、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分〔=区域区分〕を定めることができる。このため、都市計画区域は、次の3つの区域に分類することができる。
① 市街化区域
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされる。
② 市街化調整区域
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされる。
市街化調整区域では、市街化区域と比較して開発行為や建築物の建築塔が制限されている。
③ 区域区分が定められていない都市計画区域
区域区分が定められていない都市計画区域は、市街化区域と市街化調整区域との区分がない都市計画区域であり、「非線引き区域」とよばれることもある。
(2) 開発許可
都市計画法の規定によれば、都市計画区域または準都市計画区域内において所定の開発行為をしようとする者は、原則として、あらかじめ都道府県知事等の許可を受けなければならないとされている。この許可を、「開発許可」という。
たとえば、都市計画区域の市街化区域内で行う開発行為で、原則としてその規模が1,000㎡以上であるものは、都道府県知事等による開発許可を受けなければならない。
Point 市街化区域内において行う開発行為で、その規模が1,000㎡未満であるものは、原則として、開発許可を受ける必要はない。
【用語解説】準都市計画区域
都市計画区域外の区域のうち、乱開発を防止すするために規制が必要な区域は「準都市計画区域」に指定される。 |
【参考】開発許可が必要となる開発行為の規模
開発行為を行う区域 |
許可が必要な開発行為の規模 |
|
都市計画区域 |
市街化区域 |
1,000㎡以上の開発行為 |
市街化調整区域 |
規模にかかわらず開発許可が必要 |
|
区域区分が定められていない都市計画区域 |
3,000㎡以上の開発行為 |
|
準都市計画区域 |
3,000㎡以上の開発行為 |
■建築基準法ー1
建築基準法は、建築物を建築する際に守るべき最低限の基準を定めている法律である。
都市計画区域および準都市計画区域内については、以下の規制が適用される。
(1) 道路に関する規制
① 建築基準法上の道路
建築基準法上の道路とは、原則として、幅員4m以上の道路をいう。
② 接道義務
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物の敷地は、原則として、幅員4m以上の道路〔=建築基準法上の道路〕に2m以上接しなければならない。
③ みなし道路(2項道路)とセットバック[実技]
(a) みなし道路(2項道路)
幅員4m未満の道であっても、建築基準法が適用されるに至った際、すでに建築物が立ち並んでいた道で、特定行政庁の指定したものは、建築基準法第42条第2項により道路とみなされる。
このみなし道路は、一般に「2項道路」とよばれている。
【用語解説】特定行政庁
建築主事〔=建築確認を担当する公務員〕を置く市町村では市町村長が特定行政庁となり、その他の市町村では都道府県知事が特定行政庁となる。 |
(b) セットバック
都市計画区域内にある幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定により建築基準法上の道路とみなされるもの(いわゆる2項道路)については、原則として、その中心線からの水平距離で2m後退した線がその道路の境界線とみなされる。なお、準都市計画区域内においても同様である。
この後退は、一般に「セットバック」とよばれ、セットバック部分には建築物を建築することができない。そして、セットバック部分は建蔽率や容積率を算定する際の敷地面積に算入することができない。