- リスク管理
- 5.第三分野の保険
- 第三分野の保険
- Sec.1
■第三分野の保険商品の種類と内容
第三分野の保険商品には、医療保険、がん保険などがある。
(1) 医療保険
① 医療保険
医療保険は、ケガ〔=傷害〕や病気〔=疾病〕の結果、入院や通院をした場合などに保険金が支払われる保険である。公的医療保険〔=健康保険など〕を補完する役割がある。
医療保険で支払われる主な給付金(保険金)は、次のとおりである。
種類 |
内容 |
支払われる金額 |
入院給付金 |
入院給付金は、ケガや病気で入院した場合に支払われる。 一般に、医療保険の入院給付金は、1回の入院および通算の支払限度日数が定められている。 |
入院給付金日額×入院日数 〔一般に、1入院あたり60日、通算して1,000日などの上限がある〕 |
手術給付金 |
手術給付金は、ケガや病気で所定の手術をした場合に支払われる。 |
入院給付金日額×所定の給付倍率〔手術の種類に応じて10倍、20倍、40倍などの倍率〕 |
死亡・高度障害保険金 |
死亡・高度障害保険金は、死亡または所定の高度障害状態となった場合に支払われる。なお、死亡・高度障害保険金がない商品もある。 |
契約時に設定した一定額 |
Point1 入院給付金について、たとえば1入院当たりの支払限度が「60日」と定められている場合は、入院日数が60日を超えると「入院給付金日額×60日」分の入院給付金が支払われる。
Point2 退院後に入院給付金を受け取り、その退院日の翌日から180日以内に前回と同一の疾病により再入院した場合、入院給付金支払日数は前回の入院日数と合算され、1入院当たりの給付日数制限の適用を受ける。
Point3 加入時の条件を通常の医療保険よりも緩和した引受基準緩和型の医療保険は、一般に、引受基準緩和型ではない通常の医療保険と比べて保険料が高い。
Point4 保険期間が終身である終身医療保険の保険料払込期間には有期払込と終身払込があるが、終身払込のほうが毎月の保険料負担は少ない。
Point5 厚生労働省の患者調査等の各種データでは、入院日数が年々短期化している。
Point6 保険会社各社は、入院給付金や手術給付金が定額で受け取れるものや通院保障が手厚いものなど、最近の医療事情に合わせて、さまざまなタイプの医療保険を取り扱っているので、保障内容や保障範囲をしっかりと確認したうえで、加入することが大切である。
② 先進医療特約[実技]
(a) 先進医療特約
先進医療特約は、医療保険等に付加される特約のひとつであり、先進医療による療養を受けた場合に、その技術料相当額を先進医療給付金として支払うものである。療養を受けた日時点において厚生労働大臣により定められている先進医療が給付の対象となる。
また、所定の先進医療については、一部の医療機関において、保険会社から医療機関へ直接技術料を支払う制度もある。
Point1 療養を受けた日時点において先進医療としての承認を取り消されたものは給付の対象とならない。
Point2 先進医療による療養は、入院を伴うものに限らず、外来での治療も給付の対象となる。
(b) 先進医療に係る費用
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養をいう。先進医療による療養を受けた場合、診察料や投薬料等に係る費用は公的医療保険の対象となるが、技術料に係る費用は全額自己負担となる。一部の先進医療については費用が高額となる場合もあるため、医療保険等への先進医療特約の付加が検討される。
(2) がん保険[実技]
がん保険は、補償の対象をがんに限定した医療保険の一種である。補償対象をがんに絞っているため、一般に、一般の医療保険に比べ保険料が安くなる。
がん保険で支払われる主な給付金(保険金)は、次のとおりである。
種類 |
内容 |
支払われる金額 |
診断給付金 |
診断給付金は、がんと診断された場合に支払われる。 |
契約時に設定した一定額 |
入院給付金 |
入院給付金は、がんで入院した場合に支払われる。がん保険の入院給付金は、1回の入院および通算の支払限度日数が定められていない。 |
入院給付金日額×入院日数 |
手術給付金 |
手術給付金は、がんで所定の手術をした場合に支払われる。 |
入院給付金日額×所定の給付倍率〔手術の種類に応じて10倍、20倍、40倍などの給付倍率〕 |
死亡保険金 |
死亡保険金は、死亡した場合に支払われる。がん以外の原因で死亡した場合にも保険金を受け取ることができるが、がんを原因として死亡した場合よりも少額となる。なお、死亡保険金がない商品もある。 |
入院給付金日額×所定の給付倍率〔がんを原因とする場合は100倍、がん以外の原因の場合は10倍などの給付倍率〕 |
Point がん保険では、一般に、責任開始日前に90日間程度の免責期間〔=待期期間〕が設けられており、この期間中にがんと診断されたとしても診断給付金は支払われない。
(3) 介護保障保険
介護補償保険とは、被保険者が老齢、疾病または事故などにより寝たきりや認知症になって保険会社などが定める介護が必要な状態(要介護状態)であると医師に診断され、その状態が一定期間継続した場合や、公的介護保険で要介護認定された場合に、介護年金や介護一時金が支払われるものである。これは特約により付加することもできる。
Point 世帯主が要介護状態となり働けなくなった場合、世帯主の収入の減少が想定される。介護費用がかさみ、支出が収入を上回る可能性もあるので、一定額の介護年金および介護一時金を確保することは検討に値する。
■第三分野の保険ーチェック問題
【チェック問 第三分野の保険】
1. 医療保険では、退院後に入院給付金を受け取り、その退院日の翌日から1年経過後に前回と同一の疾病により再入院した場合、入院給付金支払日数は前回の入院日数と合算され、1入院当たりの給付日数制限の適用を受ける。[2018-5-8]
2. がん保険の入院給付金は、通常、1回の入院および通算の支払限度日数が定められている。[2018-9-10]
3. 医療保険等に付加される先進医療特約では、( )時点において厚生労働大臣により定められている先進医療が対象となる。[2020-9-38]
1) 申込日
2) 責任開始日
3) 療養を受けた日
4. がん保険では、一般に、責任開始日前に( )程度の免責期間が設けられており、この期間中にがんと診断されたとしても診断給付金は支払われない。[2019-1-40]
1) 30日間
2) 60日間
3) 90日間