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- 5.課税所得金額の計算(所得控除)
- 課税所得金額の計算(所得控除)
- Sec.1
1課税所得金額の計算(所得控除)
■課税所得金額の計算(所得控除)
所得税の課税標準〔=総所得金額等〕から「所得控除」を行って、「課税所得金額」を計算する。所得控除額は、まず総所得金額から控除し、残額があれば、分離課税とされる他の所得金額から一定の順序に従って控除する。
課税所得金額=所得税の課税標準-所得控除額 |
■所得控除の種類
所得控除は、全部で15種類ある。試験対策上は、ゴシック体になっている所得控除の内容が重要である。
(1) 雑損控除 (2) 医療費控除 (3) 社会保険料控除 (4) 小規模企業共済等掛金控除 (5) 生命保険料控除 (6) 地震保険料控除 (7) 寄付金控除 |
(8) 障害者控除 (9) 寡婦控除 (10) ひとり親控除 (11) 勤労学生控除 (12) 配偶者控除 (13) 配偶者特別控除 (14) 扶養控除 (15) 基礎控除 |
■各種所得控除の内容ー1
(1) 雑損控除
① 雑損控除の内容
納税者または納税者と生計を一にする親族〔ただしその年分の総所得金額等が48万円以下の者に限る〕の有する資産について、災害、盗難または横領によって損害を受けた場合や災害等に関連してやむを得ない支出をした場合に、控除額を控除することができる。
② 控除額
雑損控除の控除額は、次の(a)または(b)のうちいずれか多いほうの金額である。
(a) 雑損控除額=損失の金額-(総所得金額等の合計額×10%) (b) 雑損控除額=損失の金額のうち災害関連支出の金額-5万円 |
(2) 医療費控除[実技]
① 医療費控除の内容
納税者が、各年において、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に、控除額を控除することができる。
Point たとえば、夫が生計を一にする妻に係る医療費を支払った場合にも、夫に係る所得税の医療費控除の対象となる。なお、生計を一にする親族〔=この場合の妻〕に所得要件はない。
② 控除の対象となる医療費(主なもの)
医療費控除の対象となる医療費には、次のようなものがある。
(a) 医師または歯科医師による診療または治療の費用 (b) 治療または療養に必要な医薬品の購入費用(風邪の治療に必要な風邪薬の購入費用など) (c) あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等又は柔道整復師による施術の費用 (d) 助産師による分べんの介助の費用 (e) 医師または歯科医師による診療または治療、施術者による施術、助産師による分べんの介助〔=医師等による診療等〕を受けるために直接必要な費用 イ) 公共交通機関による通院費 医師等による診療等を受けるために直接必要な費用のうち、電車やバスなどの公共交通機関による通院費で通常必要なものは、医療費控除の対象となる。 ロ) 入院費 医師等による診療等を受けるために直接必要な費用のうち、入院時に病院に支払った部屋代、食事代などの費用で、通常必要なものは、医療費控除の対象となる。 |
③ 控除の対象とはならない費用(主なもの)
医療費控除の対象とはならない費用には、次のようなものがある。
(a) 人間ドックの受診費用、健康診断料 人間ドックの受診費用、健康診断料は、その人間ドック、健康診断によって特に異常が発見されなかった場合は、医療費控除の対象とはならない。しかし、その人間ドック、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、引き続きその疾病の治療をした場合には、その人間ドックの受診費用、健康診断料も医療費控除の対象となる。 (b) 美容整形手術のための費用、美容目的の施術代 (c) 健康増進のためのビタミン剤の購入費 (d) 自家用車で通院や通院の送迎をした場合のガソリン代や駐車料金 (e) 入院の際の洗面具等の購入費用 (f) 自己の都合により差額ベッドを使用した場合の差額ベッド料 |
④ 控除額
(a) 原則
医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額から、その年分の総所得金額等の合計額の5%相当額または10万円のいずれか低いほうの金額を控除して算出される。なお、控除限度額は200万円である。
Point 生命保険契約から支払われた入院給付金や健康保険から支給を受けた高額療養費などがある場合は、支払った医療費の総額からそれらの金額を控除する必要がある。
(b) セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
納税者が、その年中に自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費(スイッチOTC医薬品の購入費など)を支払った場合には、所定の要件を満たせば、「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」の適用を受けることができる。なお、通常の医療費控除との併用はできないため、どちらか一方を選択して適用を受けることになる。
「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」の適用を受けた場合の医療費控除の控除額は、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額から、12,000円を控除して算出される。なお、控除限度額は88,000円である。
セルフメディケーション税制による医療費控除額(限度額8.8万円) =支払った特定一般用医薬品等購入費の金額-保険金等で補填される金額-1.2万円 |
Point 「セルフメディケーション税制」の適用を受ける場合、特定一般用医薬品等購入費の総額(保険金などで補てんされる金額を除く)が12,000円を超えるときに、その超える部分の金額(最高88,000万円)を総所得金額等から控除できる。購入費の全額を医療費控除として控除できるわけではない。