• 法令上の制限税その他ー4.農地法
  • 3.利用関係の調整等(農地・採草放牧地の賃借人の保護)
  • 利用関係の調整等(農地・採草放牧地の賃借人の保護)
  • Sec.1

1利用関係の調整等(農地・採草放牧地の賃借人の保護)

堀川 寿和2021/11/25 15:54

 戦前の農地の賃貸借(小作)は、契約関係というよりは身分関係という色彩が濃かった。そして、一般的には小作人にとって不利益な小作慣習が多かった。そこで農地法は、なるべく自作農を基本とするとともに、農地賃借人の保護を図っている。

農地または採草放牧地の賃貸借の対抗力


農地または採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地または採草放牧地の引渡しがあったときは、これをもってその後その農地または採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。

 民法では、不動産の賃貸借の対抗要件として賃借権の登記を定めるが、農地または採草放牧地の賃貸借については、これに加えて、その引渡しも対抗要件になるということである。

農地または採草放牧地の賃貸借の更新


農地または採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、一定の場合を除き、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。

 これは、農地または採草放牧地の賃貸借についての法定更新を定めるものである。

農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の制限


農地または採草放牧地の賃貸借の当事者は、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、または賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。

 「合意による解約」についても、知事の許可を要する点には要注意。合意を装って、無理矢理解約させる場合があり得るからである。