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1施工計画

堀川 寿和2022/04/15 16:42

施工計画

 「施工計画」では、「建設機械の施工計画」、「施工体制台帳の作成等」からの出題が多い。

施工計画の作成

(1) 施工計画の目的

 施工計画の目的は、設計図書に基づき、施工手段を効率的に組み合わせて、適切な品質の目的構造物を、環境保全を図りつつ、最小の価格で工期内に安全に完成させることにある。したがって、施工計画は、施工の管理基準となるとともに品質工程原価安全4要素を満たす管理計画でなければならない。

 

(2) 施工計画の作成

① 施工計画の作成

 施工計画は、工事の施工にあたり与えられた契約図書に基づき施工方法施工順序及び資源調達方法などについて計画する。

 なお、施工計画の立案に使用した資料は、施工過程における計画変更などに重要な資料となったり、工事を安全に完成するための資料となるものである。

 

② 施工計画作成にあたっての留意事項

 施工計画作成にあたっての留意事項は次のとおり。

(a) 施工計画は、発注者の要求する品質を確保するとともに、安全を最優先にした施工を基本とした計画とする。

(b) 施工計画の作成にあたっては、過去の技術や実績にとらわれず、新工法・新技術を取り入れ、工夫・改善を心がける

(c) 施工計画の作成にあたっては、現場担当者に限定せず企業内の組織の協力も得て、全社的な高度の技術レベルを活用する。

(d) 施工計画の作成にあたっては、発注者から指示された工期が最適な工期とは限らないので、指示された工期の範囲でさらに経済的な工程を模索することも重要である。

(e) 施工計画の作成にあたっては、計画は1つのみでなく、いくつかの代替案により、経済的に安全、品質、工程を比較検討して最良の計画を採用することに努める。

 

③ 施工方法及び施工手順の決定

(a) 施工方法の決定

 施工方法の決定は、工事現場の十分な事前調査により得た資料に基づき契約条件を満足させるための工法の選定請負者自身の適正な利潤の追求につながるものでなければならない。

 

(b) 施工手順の決定

 施工手順の決定にあたっての留意事項は次のとおり。

) 全体工期、全体工費に及ぼす影響の大きい工種を優先して考える。

) 工事施工上の制約条件(環境・立地・部分工期)を考慮して機械、資材、労働力など工事の円滑な回転を図る(作業の平準化)。

) 全体のバランスを考え作業の過度な集中を避ける

) 繰返し作業を増すことにより習熟を図り効率を高める

事前調査

 施工計画の作成にあたっては、事前調査の結果から工事の制約条件や課題を明らかにし、それらを基に工事の基本方針を策定する。事前調査は、工事の目的、内容に応じて必要なものをもれなく重点的に行う必要がある。

 施工計画の立案にあたっては契約条件と現場条件の双方の確認が必要不可欠であり、事前調査は、契約書類の調査、現地調査(現場条件の調査)が中心となる。

 

(1) 契約書類の調査

 契約書類の調査は、工事内容を十分把握し、発注者の要求する品質や設計段階での仮定条件を明確に理解するために必要である。

 契約関係書類の調査では、工事数量、仕様(規格)などのチェックを行い、契約関係書類を正確に理解することが重要である。

 

(2) 現場条件の調査(現地調査)

① 現場条件の調査(現地調査)

 現場の諸条件は工事ごとに異なっており、工事に着手する前に、必ず現地において事前調査を行う必要がある。事前調査は、一般的に工事発注時の現場説明のときに行われるが、それだけでは不十分であるので、工事契約後現場に行って現地事前調査を行わなければならない

 事前調査では、文献図書で現地の運搬路状況、工事現場周辺状況などの概略を把握するなど既往資料を活用するともに、周辺道路の交通量、道路幅員、学校、病院、商店等の配置状況など、近隣地域の情報なども考慮する必要がある。

 

Point 現地調査は、工事契約後にも実施する必要がある。省略することはできない。

 

② 現場条件の調査(現地調査)の調査項目

 現場条件の調査(現地調査)における調査項目、調査方法、頻度などは、それぞれの現場に応じて適切に設定する必要がある。調査を行う場合には、調査項目が多いので、調査を見落としなく効率的に行うためにチェックリストを作成して調査項目及び要点をまとめておくとよい。

 現場条件の調査の一般的な調査項目は、次のとおり。

(a) 地形・地質・土質・地下水の調査(設計との照合を含む)

(b) 施工に関係する水文・気象の調査

(c) 施工法、仮設方法・規模、施工機械の選択に関する事項

(d) 動力源、工事用水の入手に関する事項

(e) 材料の供給源と価格および運搬路に関する事項

(f) 労務の提供、労働環境、資金に関する事項

(g) 工事によって支障を生ずる問題点

(h) 用地買収の進行状況

(i) 隣接工事の状況

(j) 騒音・振動などに関する環境保全基準、各種指導要綱

(k) 文化財および地下埋設物等の有無

(l) 建設副産物の処理・処理条件など、その他

 

③ 現場条件の調査(現地調査)の方法

 現場条件の調査(現地調査)にあたっては、工事を施工するうえで関連する事項に注意し、施工方法、段取り、機械の選定などを念頭において踏査する。また、過去の災害の状況とかその土地のかくれた面は現地踏査のみではわからないので、地元の古老などの意見を聞くことも必要である。

 現場条件の調査の精度を高めるためには、調査項目の落ちがないよう選定し、複数の人で調査を行い、調査回数を重ねるなどにより、個人的偶発的な要因による錯誤や調査漏れを取り除く必要がある。

 

④ 現場条件の調査(現地調査)にあたっての留意事項

(a) 地質調査は、発注者から与えられる地質調査資料をよく分析し、また原位置試験法や土質試験法についても現場技術者として十分理解しておかなければならない。

(b) 土木作業の施工可能日数を決定するには、工事の着手前に、当該地方の気象、地山性状、建設機械のトラフィカビリティーの調査などを行う。

(c) 市街地の工事や既設施設物に近接した工事の事前調査では、施設物の変状防止対策や使用空間の確保などを施工計画に反映する必要がある。

(d) 資機材の輸送調査では、輸送ルートの道路状況や交通規制などを把握し、不明な点がある場合は、道路管理者や警察署に相談して解決しておくことが重要である。

(e) 下請負業者の選定にあたっての調査では、技術力、過去の実績、労働力の供給、信用度、安全管理能力などについて調査することが重要である。

(f) 公道上で掘削を行う工事の場合は、電気、ガス及び水道などの地下埋設物の保護が重要であり、施工計画段階で調査を行い埋設物の位置、深さなどを確認する際は埋設物管理者の立会を求める

 

Point 労働基準監督署は道路状況や交通規制、電気、ガス及び水道などの地下埋設物の管理については所掌していない。