- 共通工学
- 2.測量
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■測量の基本
測量の作業の基本は、水平距離と水平角および高さの測定である。
(1) 測量の分類
測量法は、測量を次の4つに分類する。
① 基本測量
「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう(測量法4条)。基本測量によって、測量の基準となる三角点及び水準点が設置される。
② 公共測量
「公共測量」とは、基本測量以外の測量で、その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施するものをいう(測量法5条)。
③ 基本測量及び公共測量以外の測量
「基本測量及び公共測量以外の測量」とは、基本測量又は公共測量の測量成果を使用して実施する基本測量及び公共測量以外の測量をいう(測量法6条)。
④ 測量法の適用を受けない測量
建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で一定のもの。
(2) 測量の基準
① 平面直角座標系
平面直角座標系は、公共測量に用いられている。
水平位置を表示する平面直角座標系は、全国を19の座標系に区分して、それぞれに座標原点を設定している。平面直角座標系のX軸は、原点において子午線に一致する軸とし、真北に向かう値を正としており、Y軸は、原点において子午線に直行する軸とし、真東に向かう値を正とする。
Point 平面直角座標系において、水平位置を表示するX座標のX軸は、座標原点をとおる南北方向を基準としており、Y座標のY軸は、座標原点をとおる東西方向を基準としている。
② 水平位置及び高さの測量基準
(a) 水平位置の測量基準
道路、鉄道、河川、港湾などの土木工事の水平位置は、一般的に三角点(基本測量により設置される測量標)及び基準点(公共測量により設置される測量標)を基準として求められる。
なお、電子基準点は、GPS観測で得られる基準点で、GNSS(衛星測位システム)を用いた盛土の締固め管理にも用いられる。
(b) 高さの測量基準
道路、鉄道、河川、港湾などの特に精度を要する土木工事の標高は、一般的に水準点(基本測量及び公共測量により設置される測量標)を基準として求められる。
なお、水準点は、東京湾の平均海面を基準としている。
■各種測量機器
(1) レベル
レベルは水平な視準線を設けた望遠鏡から、鉛直に立てた標尺の目盛を読み取って各点の高さの差(比高差)を求める機器である。水準測量に用いられる。
レベルには、ティルティングレベル、自動レベル、電子レベルなどがある。
① ティルティングレベル
ティルティングレベルは、視準線を水平にするために高感度の気泡管を用いる。標尺目盛は観測者が読み取る。
② 自動レベル
自動レベルは、内蔵するコンペンセータ(自動補正装置)機構によって、望遠鏡の多少の傾きに関わらず、補正範囲内であれば視準線を自動的に水平にすることができる。気泡管により視準線を水平にするティルティングレベルに比べ、取り扱いが簡単であるが、標尺目盛は観測者が読み取る必要がある。
Point 自動レベルは、自動的に視準線を水平にするものであり、自動的に標尺目盛を読み取ったり、2点間の高低差を自動的に求めたりすることはできない。
③ 電子レベル
電子レベルは、電子レベル専用標尺に刻まれたパターンを観測者の目の代わりとなる検出器で認識し、電子画像処理をして高さ及び距離を自動的に読み取るものである。
(2) 鋼巻尺
鋼巻尺は距離の測定に用いられるが、温度による伸縮が大きいという欠点がある。このため、鋼巻尺による精密な距離測定は、一定の張力をかけて測定し、測定時の温度を測って温度補正及び尺定数補正を行う。
(3) トータルステーション(TS)
① トータルステーション(TS)
トータルステーション(TS)は、角度を測るデジタルセオドライトと距離を測る光波測距儀を一体化したもので、測距と測角を1台の器械で同時に行うことができる。なお、実際に観測することができるのは、斜距離、鉛直角及び水平角である。気温、気圧及び器械高を自動的に読み取ることはできない。
また、トータルステーションは、コンピュータを内蔵しており、観測した斜距離及び鉛直角により、器械を設置した観測点と視準する視準点の2点間の水平距離及び高低差を算出して表示することができる。また、観測した斜距離、鉛直角及び水平角により、任意の点に対して観測点からの3次元座標を求め、x、y、zを表示することもできる。
② トータルステーションの特徴
トータルステーションの特徴は次のとおり。
(a) トータルステーションは、測角部、測距部の測定機能及びデータ記録装置の機能を有する。 (b) トータルステーションは、既知の観測地点から目標地点の水平距離及び高低差を求めることができる。 (c) トータルステーションによる観測では、事前に気温、気圧を観測して本体にこの値を入力することにより距離の観測値に対する自動補正を行う。 (d) トータルステーションは、気象補正、傾斜補正、投影補正、縮尺補正などを行った距離を表示する。 (e) トータルステーションによる観測では、座標値を持つ標杭などを基準として、求める点の座標値を求めることができる。 (f) トータルステーションによる観測では、座標値を持つ標杭などを基準として、新たに計算された座標値を持つ点を設置することができる。 (g) トータルステーションは、キー操作で瞬時にデジタル表示されるばかりでなく、その値をデータコレクタに取得することができる。 |
Point 距離の測定値には、気象補正などが行われる。角度の測定値については、補正は行われない。
(4) GNSS測量機(旧GPS測量機)
GNSS測量機は、GPS衛星からの電波を受信し、受信点の座標や受信点間の相対的な位置関係を求めることができる。