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■海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
(1) 目的
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(以下この項において「法」という。)は、海洋汚染等及び海上災害を防止し、あわせて海洋汚染等及び海上災害の防止に関する国際約束の適確な実施を確保し、もって海洋環境の保全等並びに人の生命及び身体並びに財産の保護に資することを目的としている(法1条)。
(2) 法の適用対象(「船舶」)
法の適用対象となるのは「船舶」である。
「船舶」とは、海域(港則法に基づく港の区域を含む。以下同じ。)において航行の用に供する船舟類をいう(法3条1号)。自航、非自航の種類は問わない。
Point 海域においては、自航、非自航の種類を問わず、すべての船舟類は、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の規定を守らなければならない。
(3) 船舶からの油の排出の規制
① 船舶からの油の排出の禁止
何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない(法4条1項)。ただし、次のいずれかに該当する油の排出については、この限りでない(同条ただし書)。
(a) 船舶の安全を確保し、又は人命を救助するための油の排出 (b) 船舶の損傷その他やむを得ない原因により油が排出された場合において引き続く油の排出を防止するための可能な一切の措置をとったときの当該油の排出 |
② 油濁防止管理者
船舶所有者は、国土交通省令〔海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則〕で定める船舶ごとに、当該船舶に乗り組む船舶職員のうちから、船長を補佐して船舶からの油の不適正な排出の防止に関する業務の管理を行わせるため、油濁防止管理者を選任しなければならない(法6条1項)。
これを受けて、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則(以下この項において「規則」という。)は、油濁防止管理者を選任すべき船舶として、総トン数200t以上のタンカー(引かれ船等であるタンカー及び係船中のタンカーを除く。)を定めている(規則9条)
Point 油濁防止管理者を選任しなければならないのは、「国土交通省令で定める船舶」である。すべての船舶で選任する必要はない。
(4) 船舶からの廃棄物の排出の規制
① 船舶からの廃棄物の排出の禁止
何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない(法10条1項)。ただし、次のいずれかに該当する廃棄物の排出については、この限りでない(同条ただし書)。
(a) 船舶の安全を確保し、又は人命を救助するための廃棄物の排出 (b) 船舶の損傷その他やむを得ない原因により廃棄物が排出された場合において引き続く廃棄物の排出を防止するための可能な一切の措置をとったときの当該廃棄物の排出 |
② 船舶からの廃棄物の排出の禁止の適用除外
船舶からの廃棄物の排出であっても、一定のものについては、禁止が適用されない(法10条2項)。したがって、海域に廃棄物を排出することができる。
禁止の適用除外となる廃棄物の排出のうち主要なものは次のとおり。
(a) 当該船舶内にある船員その他の者の日常生活に伴い生ずるふん尿若しくは汚水又はこれらに類する廃棄物(以下「ふん尿等」という。)の排出(総トン数又は搭載人員の規模が政令で定める総トン数又は搭載人員以上の船舶からの政令で定めるふん尿等の排出にあっては、排出海域及び排出方法に関し政令で定める基準に従ってする排出に限る。) (b) 当該船舶内にある船員その他の者の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物の排出(政令で定める廃棄物の排出に限る。)であって、排出海域及び排出方法に関し政令で定める基準に従ってするもの |
(5) 油等の排出の通報
船舶から油等の排出があった場合には、当該船舶の船長は、国土交通省令〔規則〕で定めるところにより、当該排出があった日時及び場所、排出の状況、海洋の汚染の防止のために講じた措置その他の事項を直ちに最寄りの海上保安機関に通報しなければならない(法38条1項)。通報が必要になる油等の排出については法に規定されており、そのうち主なものは次のとおり。
① 蒸発しにくい油で国土交通省令〔規則〕で定めるもの(以下「特定油」という。)の排出であって、その濃度及び量が国土交通省令〔規則〕で定める基準以上であるもの ② 油の排出(①に掲げる特定油の排出を除く。)であって、その濃度及び量が国土交通省令〔規則〕で定める基準以上であるもの |
ただし、当該排出された油等が1万㎡を超えて広がるおそれがないと認められるときは、通報の必要はない(法38条1項ただし書、規則28条)。
なお、①の「特定油」としては、原油や重油などが指定されている(規則29条)。