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- 10.振動規制法
- 振動規制法
- Sec.1
■振動規制法の概要
全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は、年間3,000件を超えている。これを発生源別にみると、建設作業が全体の約7割で最も多くなっている。また、都市部などの住宅密集地で、とくに多くなっている。
そこで、振動規制法(以下この節において「法」という。)は、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として、建設作業から発生する著しい振動を規制している(法1条)。
■規制の対象
(1) 規制の対象となる地域(「指定地域」)
① 地域の指定
都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)は、住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域その他の地域で振動を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認めるものを指定しなければならない(法3条1項)。
法では、これによって指定された地域を「指定地域」といい(法4条2項)、振動に関する規制はこの指定地域内で行われる。
Point 地域の指定は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が行う。町村長が地域の指定をすることはできない。なお、都道府県知事が指定をしようとする場合は、関係町村長の意見を聴かなければならない(法3条2項)。
② 指定地域の区分
振動規制法施行規則(以下この節において「規則」という)により、指定地域は、次のように、「第一号区域」と「第二号区域」に区分される(規則別表第一付表)。
第一号区域 |
次のいずれかに該当する区域として都道府県知事(市の区域内の区域については、市長。)が指定した区域
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第二号区域 |
指定区域のうち、第一号区域以外の区域 |
この区分は、規制基準を適用する場面で問題となる〔後述■3(1)②(a)(b)〕。
(2) 規制の対象となる建設作業(「特定建設作業」)
規制の対象となるのは、振動を発生させるすべての建設作業ではなく、「特定建設作業」である。
① 特定建設作業
「特定建設作業」とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい振動を発生する作業であって政令〔振動規制法施行令〕で定めるものをいう(法2条3項)。
これを受けて、振動規制法施行令(以下この節において「令」という。)2条に、特定建設作業に該当する作業が定められている〔詳しくは②〕。
② 特定建設作業に該当する作業
特定建設作業に該当する作業は、次のとおり(令2条、令別表第二)。ただし、当該作業がその作業を開始した日に終わるものを除く(令2条ただし書)。つまり、当該作業が2日以上にわたって実施される場合に、特定建設作業となる。
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特定建設作業 |
一般的に使用される機械 |
1 |
くい打機(もんけん及び圧入式くい打機を除く。)、くい抜機(油圧式くい抜機を除く。)又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業 |
・ディーゼルハンマ ・バイブロハンマ など |
2 |
鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業 |
クレーンと鋼球 |
3 |
舗装版破砕機を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1日における当該作業に係る2地点間の最大距離が50mを超えない作業に限る。) |
・ドロップハンマ式の 舗装版破砕機 |
4 |
ブレーカー(手持式のものを除く。)を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1日における当該作業に係る2地点間の最大距離が50mを超えない作業に限る。) |
・ジャイアントブレーカ など |
Point1 特定建設作業に該当する作業は頻出なので、上記1~4を(カッコ内の記述も含めて)覚えておこう。
Point2 上記1~4に該当する作業であっても、作業を開始した日に終わるものは、特定建設作業から除外される。
Point3 圧入式くい打機又は圧入式くい打くい抜き機を使用する作業は、特定建設作業から除外される。
Point4 舗装版破砕機を使用する作業〔上記3〕又はブレーカーを使用する作業〔上記4〕であっても、作業地点が連続的に移動する作業で一日に移動する距離が50mを超える作業の場合には特定建設作業に該当しない。
Point5 振動ローラによる路体の締固め作業は特定建設作業に含まれない。