- 法規
- 9.騒音規制法
- 騒音規制法
- Sec.1
■騒音規制法の概要
全国の地方公共団体が受理した騒音に係る苦情の件数は、高い水準(年間16,000件超)で横ばい傾向にある。これを発生源別にみると、建設作業が全体の約37%で最も多くなっている。
そこで、騒音規制法(以下この節において「法」という。)は、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的として、建設作業から発生する著しい騒音を規制している(法1条)。
■規制の対象
(1) 規制の対象となる地域(「指定地域」)
都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)は、住居が集合している地域、病院又は学校の周辺の地域その他の騒音を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域を、特定建設作業に伴って発生する騒音について規制する地域として指定しなければならない(法3条1項)。
法では、これによって指定された地域を「指定地域」といい(法4条2項)、騒音に関する規制はこの指定地域内で行われる。
Point 地域の指定は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が行う。環境大臣が行うのではない。なお、都道府県知事が指定をしようとする場合は、関係町村長の意見を聴かなければならない(法3条2項)。
(2) 規制の対象となる建設作業(「特定建設作業」)
規制の対象となるのは、騒音を発生させるすべての建設作業ではなく、「特定建設作業」である。
① 特定建設作業
「特定建設作業」とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音を発生する作業であって政令〔騒音規制法施行令〕で定めるものをいう(法2条3項)。
これを受けて、騒音規制法施行令(以下この節において「令」という。)2条に、特定建設作業に該当する作業が定められている〔詳しくは②〕。
② 特定建設作業に該当する作業
特定建設作業に該当する作業は、次のとおり(令2条、令別表第二)。ただし、当該作業がその作業を開始した日に終わるものを除く(令2条ただし書)。つまり、当該作業が2日以上にわたって実施される場合に、特定建設作業となる。
1 |
くい打機(もんけんを除く。)、くい抜機又はくい打くい抜機(圧入式くい打くい抜機を除く。)を使用する作業(くい打機をアースオーガーと併用する作業を除く。) |
2 |
びょう打機を使用する作業 |
3 |
さく岩機を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業にあっては、1日における当該作業に係る2地点間の最大距離が50mを超えない作業に限る。) |
4 |
空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるものであって、その原動機の定格出力が15㎾以上のものに限る。)を使用する作業(さく岩機の動力として使用する作業を除く。) |
5 |
コンクリートプラント(混練機の混練容量が0.45㎥以上のものに限る。)又はアスファルトプラント(混練機の混練重量が200㎏以上のものに限る。)を設けて行う作業(モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く。) |
6 |
バックホウ(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が80㎾以上のものに限る。)を使用する作業 |
7 |
トラクターショベル(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が70㎾以上のものに限る。)を使用する作業 |
8 |
ブルドーザー(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が40㎾以上のものに限る。)を使用する作業 |
Point1 特定建設作業に該当する作業は頻出なので、上記1~8を(カッコ内の記述も含めて)覚えておこう。
Point2 上記1~8に該当する作業であっても、作業を開始した日に終わるものは、特定建設作業から除外される。
Point3 圧入式くい打くい抜き機を使用する作業は、特定建設作業から除外される。
Point4 電動機を動力〔原動機〕とする空気圧縮機を使用する作業は、特定建設作業に該当しない。
Point5 さく岩機を使用する作業〔上記3〕であっても、作業地点が連続的に移動する作業で一日に移動する距離が50mを超える作業の場合には特定建設作業に該当しない。
Point6 路面切削機を使用する作業は特定建設作業に含まれない。
Point7 騒音を発する建設作業であっても、上記1~8に該当しないものは、特定建設作業ではない。