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■下水道管ー1
(1) 管きょの基礎
管きょの基礎は、使用する管きょの種類、土質、地耐力、施工方法、荷重条件、埋設条件によって定める。
① 剛性管きょの基礎
鉄筋コンクリート管、陶管等の剛性管きょの基礎として、主なものは次のとおり。
(a) 砂又は砕石基礎
砂又は砕石基礎は、砂又は細かい砕石などを管きょ外周部にまんべんなく密着するように締め固めて管きょを支持するもので、設置地盤が岩盤の場合に採用する。
(b) コンクリート及び鉄筋コンクリート基礎
コンクリート及び鉄筋コンクリート基礎は、管きょの底部をコンクリートで巻き立てるもので、地盤が軟弱な場合や管きょに働く外圧が大きい場合に採用する。
(c) はしご胴木基礎
はしご胴木基礎は、まくら木の下部に管きょと平行に縦木を設置してはしご状に作るもので、地盤が軟弱な場合や、土質や上載荷重が不均質な場合などに採用する。
(d) 鳥居基礎
鳥居基礎は、はしご胴木の下部を杭で支える構造で、極軟弱地盤でほとんど地耐力を期待できない場合に採用する。
② 可とう性管きょの基礎
硬質塩化ビニル管、強化プラスチック複合管等の可とう性管きょは、原則として自由支承の砂又は砕石基礎とし、条件に応じて、ベットシート、布基礎等を設ける。
(2) 管きょの接合
① マンホールの設置
管きょの設計においては、管きょの方向、勾配又は管きょ径の変化する箇所及び管きょの合流する箇所には、マンホールを設ける。
② 管きょ径が変化する場合又は2本の管きょが合流する場合の接合方法
管きょ径が変化する場合又は2本の管きょが合流する場合の接合方法は、原則として水面接合又は管頂接合とする。
なお、管きょの接合方法には、次の4つがある。
(a) 水面結合
水面接合は、水理学的に、おおむね計画水位を一致させて接合するので、よい方法である。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』230頁(日本下水道協会、2001)
(b) 管頂結合
管頂接合は、流水は円滑となり水理学的には安全な方法であるが、管きょの埋設深さが増して建設費がかさみ、ポンプ排水の場合にはポンプの揚程が増す。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』230頁(日本下水道協会、2001)
(c) 管中心結合
管中心接合は、水面接合と管頂接合との中間的な方法であって、計画下水量に対応する水位の算出を必要としないので、水面接合に準用されることがある。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』230頁(日本下水道協会、2001)
(d) 管底接合
管底接合は、掘削深さを減じて工費を軽減でき、特にポンプ排水の場合は有利となる。しかし、上流部において動水こう配線が管頂より上昇するおそれがある。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』230頁(日本下水道協会、2001)
■下水道管ー2
③ 地表こう配が急な場合の接合方法
地表勾配が急な場合には、管きょ径の変化の有無にかかわらず、原則として地表勾配に応じ、段差接合又は階段接合とする。
(a) 段差接合
段差接合は、地表こう配に応じて、適当な間隔にマンホールを設ける。1箇所当たりの段差は1.5m以内とすることが望ましい。
なお、マンホールにおいて上流管きょと下流管きょの段差が0.6m以上の場合、マンホール内での点検や清掃活動を容易にするため、合流管及び汚水管については副管を設けることを原則とする。
(b) 階段接合
階段接合は、通常、大口径管きょ又は現場打ち管きょに設ける。階段の高さは1段当たり0.3m以内とすることが望ましい。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』231頁(日本下水道協会、2001)
④ 管きょの合流部分における円滑な流水の確保
管きょが合流する場合は、流水について十分検討し、マンホールの形状及び設置箇所、マンホール内のインバートなどで対処する。
(3) マンホールの構造
① マンホールの各部の名称
マンホール各部の標準的な名称は次のとおり。
引用:日本下水道協会『下水道施設計画・設計指針と解説(前編)―2001年版―』242頁(日本下水道協会、2001)
② マンホールの構造
(a) インバート
低部には、下水の円滑な流下を図るため、管きょの接合や会合の状況に応じたインバート(半円状の流路)を設ける。
(b) 副管
副管は、マンホール内での清掃作業を容易にし、流水による底部などの摩耗を防ぐ役割があり、上流管きょと下流管きょの段差が0.6m以上の場合に設ける。
(c) 上流管きょと下流管きょとの最小段差
上流管きょと下流管きょとの最小段差は、マンホール部での水理損失を考慮して2㎝程度設ける。
(d) 中間スラブ
マンホールが深くなる場合には、維持管理上の安全面を考慮して、3~5mごとに踊り場として中間スラブを設けることが望ましい。
(e) マンホールの床版下及び最下段中間スラブ下の有効高さ
マンホールの床版下及び最下段中間スラブ下の有効高さは、維持管理作業に支障のないように、インバートから2m以上を確保するのが望ましい。
③ 小型マンホールの構造
(a) 小型マンホールの埋設深さ
小型マンホールの埋設深さは、維持管理の作業が地上部から器具を使っての点検、清掃となることを考慮して2m程度が望ましい。
(b) 小型マンホールの最大設置間隔
小型マンホールの最大設置間隔は、50mを標準とする。
(4) 下水道管路施設の耐震対策
① 管路の耐震性向上の具体的方策
(a) 引張りが生じる部位
管きょの継手部のように引張りが生じる部位は、伸びやズレを許容する構造とする。
(b) 曲げが生じる部位
マンホールと管きょの接続部や管きょと管きょの継手部のような曲げの生じる部位については、可とう性を有する継手部の材質や構造で対応する。
(c) せん断力を受ける部位
マンホールの側塊などのせん断力を受ける部位は、ズレが生じない構造か土砂がマンホール内に流入しない程度のズレを許容する構造とする。
② 液状化対策
液状化時の過剰間隙水圧による浮上がり、沈下、側方流動などに対しては、管路周辺に砕石などによる埋戻しやマンホール周辺を固化改良土などで埋め戻す対策が有効である。
(5) 下水道管きょなどの布設時の土留め工法
下水道管きょなどの布設工事で比較的多く用いられている土留め工法は次のとおり。
① 建込み簡易土留め工法
建込み簡易土留め工法は、土留め矢板と切ばりをセットにした既製横矢板工法で、工期が短く、騒音、振動が少なく、掘削完了と同時に土留めが完了するので比較的小規模な土留めとして用いられる。
② 軽量鋼矢板工法
軽量鋼矢板工法の軽量鋼矢板は、比較的軽量であるため取り扱いが容易で、木矢板に比べ品質も一定しており反復性も高いが、水密性が期待できないので湧水の少ない小規模な掘削に主に用いられる。
③ 鋼矢板工法
鋼矢板工法の鋼矢板は、耐久性、水密性及び強度において、木矢板や軽量鋼矢板よりも優れており、軟弱地盤で湧水のある場合に用いられ、根入れ長を十分長くとることで、ヒービングやボイリングを防止することができる。
④ 親杭横矢板工法
親杭横矢板工法は、H形鋼などを親杭として打設し、掘削の進行に合わせて木矢板などにより土留め壁とするもので、普通地盤で地下水が少なく、ある程度自立する地盤に用いられる。
(6) 下水道管きょの更生工法
更生工法は、既設管内に新管を、又は既設管と一体となって所定の外力に抵抗しうる構造の管を構築するもので、基本的に道路の掘削を伴わず施工できる。
更生工法は、次の4つに大きく分類される。
① 反転工法
反転工法は、熱又は光による硬化性樹脂を含浸させた繊維性の材料を、既設のマンホールから、下水管きょ内に反転加圧させながら挿入し、管きょ内で加圧状態のまま樹脂を硬化させ、管きょ内面に圧着した更生管を形成する工法である。
管きょの目地ズレ、たるみなどを更生させるのではなく、あくまでも既設管の形状を維持する断面を更生することとなる。
② 形成工法
形成工法は、硬化性樹脂を含浸させたライナーや硬化性の連続パイプを既設管きょ内に引き込み、空気圧等で拡張・圧着させた後に硬化し製管する工法である。
管きょの目地ズレ、たるみなどを更生させるのではなく、あくまでも既設管の形状を維持する断面を更生することとなる。
③ さや管工法
さや管工法は、既設管より1ランクサイズダウンで形成されている管きょをけん引挿入し、間隙に充填剤を注入し更生管を形成するものである。更生管が工場製品であり、仕上がり後の信頼性が高い。
断面形状が維持されており、物理的にパイプが挿入できる程度の破損であれば施工可能である。
④ 製管工法
製管工法は、対象管きょ内に硬質塩化ビニル材等をかん合しながら製管し、既設管との間隙に裏込め材を充てんして既設管と一体となる新管と同等の管を構築する工法である。
断面形状が維持できていて、破損、閉そくしていない限り施工は可能である。また、流下量が少量であれば下水を流下させながら、施工が可能である。