- 専門土木
- 6.ダム
- ダム
- Sec.1
■ダムの分類
ダムは堤体に使用される材料により、コンクリートダムとフィルダムに大別できる。フィルダムはロックフィルダムと呼ばれることもある。
(1) コンクリートダムの形式
堤体材料にコンクリートを使用しているダムをコンクリートダムという。コンクリートダムは、構造により、次の2つの形式がある。
① アーチ式コンクリートダム(アーチダム)
アーチ式コンクリートダムは、水圧を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型に築いたもので、重力式コンクリートダムに比べ、両岸に丈夫な岩盤が必要となるが、ダムの厚さを薄くすることができ、材料が少なくてすむため経済的である。
② 重力式コンクリートダム(重力ダム)
重力式コンクリートダムは、水圧をダム(コンクリート)の重量で支える形式のダムであり、コンクリートダムとしては最も一般的なものでる。ダムの重量を支えるのに十分な基礎岩盤上に建設することが原則である。
(2) フィルダムの形式
堤体の大部分が土砂や岩石などの天然材料で盛り立てられているダムをフィルダムという。フィルダムは、遮水方式により、次の3つの形式がある。
① ゾーン型フィルダム
ゾーン型フィルダムは、遮水ゾーン、半透水ゾーン及び透水ゾーンの3つのゾーンによって構成されるダムである。
② 表面遮水壁型フィルダム
表面遮水壁型フィルダムは、上流側表面にコンクリートあるいはアスファルトコンクリートの遮水壁を有する形式のダムである。
③ 均一型フィルダム
均一型ダムは、主として細粒の不透水性材料により築造されるダムである。
■基礎の掘削
ダム堤体の基礎の掘削は、ダムの規模や形式に応じた所要の強度及び遮水性を有する地盤を露出させるために行われる。基礎の掘削は粗掘削と仕上げ掘削に分かれる。
(1) 基礎掘削計画を立てる際の留意事項
基礎掘削は、掘削計画面より早く所要の強度の地盤が現れた場合には掘削を終了し、逆に予期しない断層や弱層などが現れた場合には、掘削線の変更や基礎処理を施さなければならない。そこで、あらかじめそのような不測の事態が発生した場合の対応方針を考えておく必要がある。
堤敷外の掘削面は、施工中や完成後の法面の安定性や経済性を考慮するとともに、景観や緑化にも配慮して定める必要がある。
(2) 粗掘削
① 粗掘削の工法
粗掘削では、土砂、ルーズな岩、軟岩はトラクタショベル、バックホウなどにより掘削し、比較的硬い岩はリッパドーザとの組合せにより掘削する。硬岩部の掘削は火薬を用いたベンチカット工法が一般的である。
② ベンチカット工法
ベンチカット工法の発破掘削には、一般にAN-FO爆薬(硝安油剤爆薬)が用いられるが、AN-FO爆薬は他の爆薬に比べて安価かつ安全であり、また低比重で長装薬に有利で流し込み装填ができる利点がある。
③ 発破制限
掘削計画面から3.0m付近の掘削は、小ベンチ発破工法やプレスプリッティング工法などにより基礎岩盤への損傷を少なくするよう配慮する。
(3) 仕上げ掘削
仕上げ掘削は、一般に掘削計画面から50㎝程度残した部分を、火薬を使用せずに小型ブレーカや人力で基礎岩盤に損傷を与えないよう丁寧に施工する掘削である。仕上げ掘削は粗掘削とは連続させず、着岩面の劣化防止のため、堤体の盛り立てやコンクリートの打込みの直前に施工する。