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1道路・舗装

堀川 寿和2022/03/31 14:45

道路・舗装

 「道路・舗装」では、特に「構築路床・路盤の施工」、「アスファルト表・基層の施工」、「コンクリート版(コンクリート舗装)の施工」及び「補修」(なかでも「アスファルト舗装の補修工法」)からの出題が多いが、「ポーラスアスファルト混合物の施工」からもよく出題されている。

舗装道路の構造

 舗装道路は、上層から順に表層基層路盤路床の各層で構成されており、路床の下には路体がある。このうち。表層、基層、路盤までを舗装という。舗装道路を築造する際は、下層から順に施工することになる。

 

(1) 表層

 表層は、最上部にある層で、交通荷重を下層に分散伝達し、交通の安全性、快適性など、路面の機能を確保する役割を持つ層である。

 

(2) 基層

 基層は、上層路盤の上にあって、その不陸を補正し、表層に加わる荷重を均一に路盤に伝達する役割を持つ層である。基層を2層以上で構築する場合は、その最下層を基層といい、上の層を中間層という。

 

(3) 路盤

 路盤は、路床の上に設けた、アスファルト混合物層やコンクリート版からの荷重を分散させて路床に伝える役割を果たす層である。一般に、上層路盤と下層路盤の2層に分ける。

 

(4) 路床

 路床とは、原地盤のうち、舗装の支持力層として構造計算に用いる層である。また、原地盤を改良した場合には、その改良した層を構築路床、その下部を路床(原地盤)といい、この2層をあわせて路床という。

 

(5) 路体

 路体は、路床の下部にあって、舗装と路床を支持する役割を持つ。

 

構築路床・路盤の施工ー1

(1) 構築路床の施工

 構築路床の築造工法には、盛土安定処理工法及び置換え工法などがある。路床の築造工法の選定においては、構築路床の必要とするCBRと計画高さ、残土処分地及び良質土の有無などに配慮して決定する。

 構築路床は、適用する工法の特徴を把握したうえで現状路床の支持力を低下させないように留意しながら、所定の品質、高さ及び形状に仕上げる

 構築路床の施工終了後、舗装の施工までに相当の期間がある場合には、降雨によって軟弱化したり流出したりするおそれがあるので、仕上げ面の保護などに配慮する必要がある。

 

Point 路床構築後に上層の施工まで相当の期間がある場合には、構築路床面の保護を行うとともに、降雨による軟弱化や流出の防止などに配慮する必要がある。

 

① 工法の特徴

(a) 盛土

 盛土は、良質土を現地盤の上に盛り上げて路床を構築する工法である。地下水位が高く軟弱な箇所では、一般にその支持力を改善する工法として適用される。

 

Point 盛土は、液状化を防止する目的には適さない。

 

(b) 安定処理工法

 安定処理工法は、現位置で現状路床土とセメントや石灰などの安定材を混合し、路床土の支持力を改善して路床を構築する工法で、現状路床土の有効利用を目的とする場合CBR3未満軟弱土に適用される。

 

(c) 置換え工法及び凍上抑制層

) 置換え工法

 置換え工法は、切土部分で軟弱な現状路床土がある場合などに、その一部又は全部を掘削して良質土で置き換える工法である。

 

) 凍上抑制層

 凍上抑制層は、凍結深さから求めた必要な置換え深さと舗装の厚さを比較し、置換え深さが大きい場合に、路盤の下にその厚さの差だけ凍上の生じにくい材料で置き換えたものである。

 

② 構築路床の施工

(a) 盛土の施工

 盛土路床は、使用する盛土材の性質をよく把握した上で均一に敷き均し、過転圧による強度低下を招かないように十分に締め固めて仕上げる。

 盛土の施工にあたっては、次の点に留意する必要がある。

) 一層の敷均し厚さ仕上り厚20㎝以下を目安として、土をまきだしながら締固めを行う。

) 盛土路床施工後の降雨排水対策として、縁部に仮排水溝を設けておくことが望ましい。

) 切土路床は、表面から30㎝程度以内に木根、転石などの路床の均一性を損なうものがある場合には、これらを取り除いて仕上げる

 

Point 路床土が粘性土である場合や含水比が高い土の場合には、施工終了後に降雨によって荷重支持性能が低下しないように縁部に仮排水溝を設けるなど排水に十分注意する。

 

(b) 安定処理工法の施工

 安定処理工法による構築路床は、現状路床土と安定材を均一に混合し、締め固めて仕上げる。

 構築路床の安定処理は、一般に路上混合方式で行い、所定の締固め度を得られることが確認できれば、全厚を一層で仕上げる。なお、中央プラントで現状路床土の安定処理を行い、処理した材料を盛土や置換え工法に用いることもある。

 

Point 現状路床土の安定処理は、中央プラントで行われることもあるが、一般には路上混合方式で行われる。

 

) 構築路床用の安定材(安定処理材料)

 構築路床の安定処理を目的に土等に添加する安定材には、一般にセメント、石灰などを用いる。安定処理の対象が、砂質系材料の場合にはセメントが、粘性土の場合には石灰が、一般に有効である。

 

) 施工上の留意点

 安定処理工法の施工上の留意点は次のとおり。

) 安定材安定処理材を散布する場合は、散布に先立って現状路床の不陸整正や、必要に応じて仮排水溝の設置などを行う。

) 所定量の安定材を散布機械又は人力により均等に散布する。

) 散布が終わったら、ロードスタビライザなどの適切な混合機械を用いて、安定材と路床土を所定の深さまでむらなくかき起こし十分に混合する。混合中は深さの確認を行い、混合むらが生じた場合再混合する。

) 路床の安定材に粒状の生石灰を用いる場合には、1回目の混合が終了したのち仮転圧して放置し、生石灰の消化を待ってから再び混合する。ただし、粉状の生石灰(05㎜)を使用する場合は、1回の混合で済ませてもよい。

) 安定材の散布及び混合に際して粉塵対策を施す必要がある場合には、防塵型の安定材を用いたり、シートの設置などの対策をとる。

) 混合が終了した安定処理土は、タイヤローラなどによる仮転圧を行い、次にモーターグレーダなどにより所定の形状に整形した後、タイヤローラなどにより締め固める。軟弱で締固め機械が入れない場合には、湿地ブルドーザなどで軽く転圧を行い、数日間養生の後、整形してタイヤローラなどで締め固める。

 

Point1 安定材に粒状の生石灰を用いる場合は、生石灰の消化(水和反応)を待つために仮転圧した後しばらく放置し、生石灰の消化が終了した後再混合を行う。再混合は生石灰の消化を促すために行うのではないので、生石灰の消化が終了する前に(転圧後速やかに)再混合は行わない。

Point2 湿地ブルドーザなどで転圧した後は、すぐに締め固めず、締固めまで数日間の養生が必要である。

 

(c) 置換え工法及び凍上抑制層の施工

 置換え工法及び凍上抑制層では、原地盤を所定の深さまで掘削し、掘削面以下の層をできるだけ乱さないように留意しながら、良質土や安定処理した材料又は凍上抑制効果のある材料を敷き均し締め固めて仕上げる。

 

Point 置換え工法では、掘削面以下の層をできるだけ乱さないように留意する必要がある。したがって、掘削面をかきほぐしてはならない

 

③ 構築路床の施工管理

 路床の施工終了後は、タイヤローラなどを走行させてたわみを目視で観察するとともに、締固め不足や材料不良の箇所がないかを調べる方法としてプルーフローリングを行うのがよい。