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- Sec.1
1基礎工
■基礎工
「基礎工」では、特に「直接基礎」、「杭基礎」(なかでも「既製杭工法」のうち[中掘り杭工法]、[プレボーリング杭工法]、[既製杭(鋼管杭)の現場溶接]、及び「場所打ち杭工法」)、「土留め工(土留め)」からの出題が多い。
■基礎工の概要
(1) 基礎工の分類
基礎工は、次のように、直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎、その他の特殊基礎に大別することができる。
浅い基礎 |
直接基礎 |
原地盤をそのまま利用するもの |
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地盤改良を行うもの(地盤改良、安定処理、軟弱地盤工法) |
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深い基礎 |
杭基礎 |
既製杭基礎 |
木杭、RC杭、PHC杭、SC杭、鋼杭 |
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場所打ち杭基礎 |
機械掘削工法 |
オールケーシング工法 |
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リバース工法 |
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アースドリル工法 |
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人力・機械掘削工法 |
深礎工法 |
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ケーソン基礎 |
オープンケーソン |
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ニューマチックケーソン |
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設置ケーソン |
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特殊基礎 |
鋼管矢板基礎、多柱基礎、地中連続壁基礎等 |
試験対策として特に重要なのは、直接基礎と杭基礎である。
(2) 土留め工
基礎や地下構造物を施工するためには、原地盤を掘削しなければならない。掘削に伴う土砂崩壊を防ぐために、架設構造物である土留めが用いられる。
■直接基礎
(1) 直接基礎の特徴
直接基礎は、地盤を比較的浅く掘削してフーチングを構築し、上部構造からの荷重を直接支持層に伝える基礎である。
直接基礎は、一般に支持層位置が浅い場合に用いられ、側面摩擦によって鉛直荷重を分担支持することは期待できないため、その安定性は基礎底面の鉛直支持力に依存している。
直接基礎の支持層としては、砂層及び砂礫層では十分な強度が、粘性土層では圧密のおそれのない良質な層が、それぞれ必要とされる。このため、一般には沖積世の新しい表層には支持させない。
直接基礎の良質な支持層の目安については、次のとおり。
地盤 |
N値 |
砂層、砂れき層 |
30程度以上 |
粘性土層 |
20程度以上 |
Point 粘性土層は、圧密のおそれがなくN値が20程度以上であれば、支持層と考えてよい。
(2) 直接基礎の施工
① 基礎底面の処理
直接基礎の底面は、支持地盤に密着させることで、滑動抵抗を十分に期待できるように処理しなければならない。なお、一般に基礎が滑動するときのせん断面は、基礎の床付け面のごく浅い箇所に生じることから、施工時に地盤に過度の乱れが生じないようにする必要がある。
直接基礎の底面は、基礎地盤の状態に応じて、次のような処理が必要となる。
(a) 基礎地盤が砂地盤の場合
基礎地盤が砂地盤の場合は、ある程度の不陸を残して基礎底面地盤を整地し、その上に栗石や砕石を配置するのが一般的である。
(b) 基礎地盤が岩盤の場合
基礎地盤が岩盤の場合は、均しコンクリートと地盤が十分にかみ合うよう、基礎底面地盤にはある程度の不陸を残し、平滑な面としないように配慮する。
② 埋戻し
フーチングの根入れ部分に水平力を分担させる設計を行った場合には、周辺地盤と同等以上の水平地盤抵抗を有することができるように、適切な埋戻し材料の選定及び施工を行わなければならない。
岩盤を切り込んで直接基礎を施工する場合は、切り込んだ部分の岩盤の水平抵抗(横抵抗)を期待するためには、岩盤と同程度の強度や変形係数を有するもの、例えば貧配合のコンクリート等で埋め戻す必要がある。
Point 岩盤を切り込んで直接基礎を施工する場合に、掘削したずりで埋め戻すと、岩盤と変形係数が異なり設計で考慮した地盤抵抗が期待できないことになるので注意が必要である。
(3) 擁壁の直接基礎
① 基礎地盤の掘削にあたっての留意事項
直接基礎の擁壁における基礎の施工にあたっては、擁壁の安定性を確保するため、基礎地盤が十分なせん断抵抗を発揮できるよう掘削時に基礎地盤を緩めたり、必要以上に掘削することのないように処理しなければならない。
② 置換えコンクリート基礎
斜面上や傾斜した支持層などに擁壁の直接基礎を設ける場合は、基礎地盤として不適な地盤を掘削し、コンクリートで置き換えて施工することができる。
基礎地盤をコンクリートで置き換える場合には、所要の支持力が得られるよう底面を水平に掘削し、浮き石は完全に除去し、岩盤表面を十分洗浄し、その上に置換えコンクリートを直接施工する。
③ 改良地盤上の直接基礎
(a) 基礎地盤の置換え
表層は軟弱であるが、比較的浅い位置に良質な支持層がある地盤を擁壁の基礎とする場合は、良質土による置換えを行い、改良地盤を形成してこれを基礎地盤とすることができる。
(b) 基礎地盤の安定処理
軟弱地盤上で地下水位が高い場合には、置換え砂や埋戻し土の安定処理を行うなどの、液状化が生じないような処理を施すことを原則とする。
設計における改良強度を現場で得るため、事前に室内で配合試験を行って、安定材の種類や添加量を決定する。なお、基礎地盤を現場で安定処理した改良土の強度は、一般に同じ添加量の室内配合における強度よりも小さくなることを考慮して施工しなければならない。